コロナ禍で広がるオンラインツアーの魅力

 新型コロナウイルスの感染拡大により、国内外の旅行が足止めされる中で、自宅で世界各地の旅気分を味わえるオンラインツアーが、新しい旅のスタイルとして注目を集めている。実際に現地を訪問しなくても、現地ガイドやインストラクターから送られてくる映像により、美しい景色や歴史的な建造物などを身近に感じることができるのが特徴だ。

 オーダーメード旅行などを手掛ける旅工房(東京)は、オンラインツアーに力を入れている企業のひとつだ。旅行に行くことが難しい状況の中で、旅好き同士がオンライン上で集まり、現地の基本情報を紹介したり、海外の観光スポットと中継をつなぎ、現地を感じてもらうオンラインツアーイベント「オンライン旅会」を2020年5月から開催している。

 同社は元々、旅を愛する旅人同士が楽しめるイベントとして、「旅会」を開催していた。新型コロナの流行前までは、実際に集まって一緒に海外の料理を食べたり、ワインを飲んだり、政府観光局の話を聞いたりしていた。コロナ禍では、集まっての開催が難しくなったが、そんな中でも交流会を開こうと、オンライン旅会が誕生したという。

 オンライン旅行サービス「Travel At Home」を運営するTorch(東京)は、Travel At Home内に、トラベラー(視聴者)とガイド(撮影者)が自由に登録して、オンライン旅行を楽しめるマッチングサイトをリリースした。スタート時に登録しているガイドは、アメリカ、スペイン、エジプトなど約30か国。リアルタイム映像のオンライン旅行サービスで、視聴者と観光地にいる人をZOOM(ズーム)やSkype(スカイプ)などのビデオ電話でつなぐ仕組み。視聴者は自分の見たい場所を右・左や「近づいて」などと遠隔から指示することができる。

 こうしたオンラインツアーは、世界中で始まっており、自宅から参加できる新しい観光の形として注目されている。一方的に視聴するだけの動画サイトと違い、気になった質問をガイドに投げかけたり、現地の生産者と交流したり、普段は目にすることのない場所の観光などを遠隔体験できるサービスなど、現地にいる人たちとのコミュニケーションを楽しめることができ、ロックダウンを強いられている旅愛好家たちの支持を受けている。

ガイド、土産物…観光産業にも一筋の光

 一方、コロナ禍で苦しんでいる観光産業にとっても、オンラインツアーを復興のチャンスとして活用している。観光地のガイドも、コロナ禍で交流がストップしてしまい、収入が絶たれてしまっているケースも多い。このため、オンラインツアーは、観光ガイドがコロナ禍でも稼げる新しいビジネスとなっており、積極的に参加して、人気を高めているガイドも少なくない。ポスト・コロナで観光旅行が再開された時に、「実際に現地へ旅行し、あのガイドに会ってみたい」と思わせるマーケティングの手段としても活用されている。

 また、観光物産のビジネスにとっても、コロナ禍で観光地が閑散としてしまい、商売が苦境に陥っているケースも目立つ。ワインやウイスキーなどの種類や食品などの名産品・特産品が届くプランもあるほか、高級ホテルが展開している土産や記念品を通販で手に入れることができるサービスも増えている。

 スポーツイベントやコンサートやライブなどの音楽イベントも、コロナ禍で観客を制限しているため、厳しい運営を迫られている。こうしたスポーツや音楽、エンタメイベントと融合したオンラインツアーも今後、出てきそうだ。

 また、高級ホテルでのセレブと楽しむディナーショーや、セレブがファンクラブと巡るツアーなども開催が難しくなっているが、オンラインツアーを組み込むことで、三密を回避しながらイベントを開催することも可能になる。特産品をECで手に入れて、名物料理の調理法をオンラインツアーで学んだり、フラダンス、ヨガなどのアクティビティを画面の前で一緒に体を動かしながら楽しむライブレッスンを楽しんだりするような特色のあるサービスやコンテンツが増えてきそうだ。

コロナ後は新たな旅の形に?

 自宅でパソコンやタブレットを片手に、自分が好きな世界の観光地を自由気ままに巡ることができるオンラインツアーは、コロナが終息した後にも、新たな旅行のカタチとして残る可能性もある。現地に行きたくても、「お金がない」「暇がない」など、日常の忙しい毎日に追われている人たちにとっては、毎週末、自宅に居ながら世界の歴史や文化を学ぶ旅や、現地に行かなくても欲しいものを手に入れるショッピングの旅や、ヨガなどの体験を手軽に楽しめる旅などを選ぶことができるからだ。例えば、夏休みや大型連休に、ヨーロッパの歴史を巡る旅を探して選んだり、世界一周旅行を楽しめるようなプランも登場するかもしれない。

 このほか、ポスト・コロナに行ってみたい観光地を探すために、まずはオンラインアクティビティで「お試し」するような使い方も出てきそうだ。実際現地に行く前からその土地の歴史や文化に触れ、予習しておくことで、実際に現地を訪れたときの旅をより充実させることができる。観光スポットやおすすめレストランなどの知識を頭に入れて置き、自分で旅行プランを立てるなど、旅行前のシミュレーションとしての活用法もある。

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