全体像見えぬオミクロン株 専門家「悪いところ総取り」指摘も

 政府が監視体制を強める新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」は、感染力が高まったり、ワクチン効果を弱めたりする可能性が指摘されている。その特徴を「主要な変異株の悪いところを総取りした」と表現する専門家もいるが、全体像は見えておらず解析が急がれている。

 オミクロン株は、ヒトの細胞への感染の足掛かりとなる突起状の「スパイクタンパク質」に約30カ所の変異を持つ。これまで検出された変異株の中で最も多様な変異がある。世界中で広まったデルタ株やアルファ株などの特徴である「K417N」「T478K」「N501Y」などの変異があり、東京農工大の水谷哲也教授(ウイルス学)は「これまでの主要な変異株の悪いところを総取りしたような変異株だ」と指摘する。

 ただ、詳しい性質は明らかになっていない。世界保健機関(WHO)は28日の声明で、オミクロン株について、南アフリカの一部地域で感染者と入院率が増えているが、現時点で症状が他の変異株と異なるという情報はないとした。重症化率の高さなどの解明には「数日から数週間かかる」という。

 一般に、スパイクタンパク質に入る変異が多くなるほど、構造や機能が変化する可能性が高まる。国立感染症研究所によると、スパイクタンパク質に変異を20カ所入れた合成ウイルスを用いた実験では、感染者やワクチン接種者の血液で免疫を逃れる性質が確認されたとする報告がある。オミクロン株でも、こうした多重変異によるワクチン効果の低下や再感染の可能性が懸念されるという。

 ただ、ワクチン接種によってできた中和抗体が結合できるウイルス上の目印は複数あり、水谷教授は「ワクチン効果が弱まる可能性はあるが、無くなることはないだろう」と話す。

 一方、すでに世界各国で水面下での感染が拡大し、日本国内に入り込んでいる可能性もある。日本政府は、水際強化に加え、全国のゲノム解析による監視体制を強化。感染研ではオミクロン株を検出するPCR検査の手法を開発中だ。

 東京医科大の濱田篤郎特任教授(渡航医学)は「気温が下がり、年末年始に向けて人流が増え、国民のワクチン効果も落ちていく今後、国内でオミクロン株が次の感染の波を作る可能性もある。詳しい性質が判明するまでは水際対策を強化し、少しでも流入を遅らせるべきだ」と話している。

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