インド型感染1週間で3倍以上 専門家「英国型から置き換わる可能性」

米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチン。インド型にも予防効果があるとみられる

 国内の感染の主流に置き換わった新型コロナウイルスの英国型より感染力が高い恐れがあるインド型が国内で徐々に広がっている。厚生労働省によると、感染者数は約1週間で3倍以上に増加。ワクチン接種が進むなか、感染を急拡大させる恐れもあり、政府は対策を強めている。

■懸念される変異株

 インド型は爆発的な感染拡大が起きたインドで最初に確認された変異株。細胞への感染に関わるウイルス表面のスパイクタンパク質に「L452R」などの変異を持つ。12日に国立感染症研究所が警戒レベルの高い「VOC(懸念すべき変異株)」に位置付けた。

 「今後インド株への置き換わりが起こる可能性はかなり高いだろう」。26日開かれた厚労省に助言する専門家会合後の会見で、座長を務める脇田隆字(たかじ)・感染研所長は国内でのインド型の流行の見通しについてこう推測した。

 世界保健機関(WHO)の疫学週報によると、インド型は25日時点で世界約60カ国で検出。厚労省によると、国内では24日時点で関東や関西の大都市圏を中心に29例を確認、18日時点と比べ21例増えた。東京都のスクリーニング検査では27日時点でインド型とみられる変異株を14例検出。都内ではインド型によるクラスター(感染者集団)発生も確認されている。

■英国型の1・5倍の感染力

 インド型で強く懸念されているのは感染力の強さだ。

 現在国内で主流の英国型は従来型の1・32倍の感染力を持つとされ、4月ごろから急速に従来型から置き換わった。今月26日の専門家会合では、インド型の家庭内の二次感染率が英国型よりも1・5倍程度高まっているとする英イングランド公衆衛生局(PHE)の研究データが示された。

 現在発令中の緊急事態宣言の解除のタイミングにも影響する恐れがあり、脇田氏は「(感染者数が)下がった状況でなるべく粘るということが重要だ」と指摘。専門家会合に出席した西浦博・京都大教授は「感染性や重症度などの特性を明らかにしていくことが極めて重要だ」としている。

 政府はこれまでにインド型に対し、水際対策を強化。さらに、現在全国で行われている変異株PCR検査がインド型に未対応のため、厚労省は近く、L452R変異を見つける新たなPCR検査を民間検査機関に委託し、監視体制を強化する方針だ。ただ、すでに相当数の感染者が国内に流入していると指摘する専門家もいる。

■ファイザー製ワクチン2回接種で発症予防88%

 現時点ではワクチンへの影響の評価は定まっていないが、PHEは今月22日、インド型について、米ファイザー製の新型コロナワクチンを2回接種すれば、2週間後の発症予防率は88%とする査読前の論文を公開。英アストラゼネカ製でも60%だった。また、横浜市立大の研究では、ファイザー製を1回接種した日本人の37%、2回接種で97%の人が、インド型に対する「中和抗体」を持つことが確認された。

 中和抗体は、ウイルスのスパイクタンパク質にくっついて細胞への感染をブロックするが、標的とするタンパク質上の目印は複数存在する。このため、変異で目印の一部が失われても免疫の効果は完全には消えないと考えられる。研究チームの山中竹春教授は「現在確認されている変異株に対しては既存ワクチンでかなりの部分が対応できる可能性がある」と指摘する。

 インド型に対しても基本的な感染予防策は従来と変わらない。感染研は「3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨される」としている。

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