阪神、阪急、伊勢丹…なぜデパ地下でクラスターが?

阪神百貨店(左)と阪急百貨店(右)=大阪市北区

「短い会話」がリスク高める

 新型コロナウイルスの「第5波」では、百貨店の地下食品売り場「デパ地下」でクラスター(感染者集団)が相次いで発生している。政府は緊急事態宣言の対象地域で、大型商業施設への入場制限要請を決定。大阪府も18日、入場者は通常の半分以下とするよう要請することを決めた。なぜ今、デパ地下に焦点があたっているのか。専門家は感染力が高いインド由来のデルタ株と、デパ地下で避けられない「短い会話」が組み合わさり、リスクを高めていると分析する。

 内閣官房によると、今月2~9日までに東京や大阪など7都道府県で、5人以上の感染者が報告された百貨店は23店舗。また、百貨店での感染者225人(48店舗)の勤務フロアを分析したところ、地下が33%を占め、1階は16%、2階は11%で、3階以上はいずれも10%を下回った。

 阪神百貨店梅田本店(大阪市北区)と阪急百貨店梅田本店(同)では感染者が相次いだため、地下の食品売り場を休業。伊勢丹新宿店(東京都新宿区)でも80人以上が感染し、食品売り場を一時休業した。

 これまでの「波」では、百貨店に休業要請が行われた場合でも、生活必需品を扱う食品フロアは営業を継続する店もあった。なぜ状況が変わったのか。近畿大医学部の東賢一准教授(衛生学)が指摘するのは、感染力が高いデルタ株の影響だ。

 デルタ株の感染者が保有するウイルス量は従来型の約千倍ともいわれ、アメリカの疾病対策センターは、感染力が季節性インフルエンザより強く、水痘(水ぼうそう)に匹敵するとの見方を示している。

密集では「数分で感染の可能性」

高島屋大阪店の食料品売り場では、パンを透明のショーケースなどに入れるなど感染対策を取っている=大阪市中央区

 これまで15分以上の会話で感染リスクが高まるとされてきたが、東准教授は「密集した場所ではわずか数分で感染する可能性がある。これまでと同様の対策では、感染を十分に抑えられない」と推測する。実際、第5波では百貨店だけでなく、学習塾や体験販売会など、これまでほとんどなかった場所でもクラスターが発生している。

 各百貨店は感染対策を強化しているが、量り売りや贈答用の商品を扱うデパ地下では客と店員との「短い会話」はつきものだ。

 近鉄百貨店のあべのハルカス近鉄本店(大阪市阿倍野区)では、デパ地下での大声での呼び込みの禁止を再度徹底した。ただ、百貨店関係者は「お客さまから商品について質問されたら、従業員は無視するわけにはいかない」と苦悩する。

 緊急事態宣言の対象地域が計13都府県に拡大することが決まった17日午後、大阪府内の別のデパ地下では、マスク着用や消毒を呼びかけるアナウンスが何度も流れ、各店舗のレジにはビニールシートが設置されていた。

 一方で、店員と客が会話をしながら商品を選ぶいつもの光景も。来店した女性会社員(25)は「店舗ごとに立ち止まって商品をじっくり選んでしまうし、その度に従業員から声をかけられた」と話した。東准教授は「以前は十分とされた手洗いや換気の頻度であっても、今は不十分な可能性がある。店の対策だけでなく、利用者側もこれまで以上に対策を徹底する必要がある」としている。

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