デパ地下、家族づきあい…職場集団感染で浮かぶ対策の「盲点」

 27日から宮城など8道県が緊急事態宣言の対象に追加されるなど、新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見通せない中、目立つのが職場での集団感染だ。感染力が強いデルタ株が流行の主体となり、100人規模での職場集団感染も相次いでいる。それぞれの事案からは想定外の場面で感染が広がるといった従来の対策の盲点も浮かぶ。職場集団感染は業務停止リスクもはらむだけに、感染対策の抜本的な見直しと強化が急務だ。

換気の悪さ、小規模店舗がアダに

 集団感染が特に目立つのが百貨店だ。阪急阪神百貨店では阪急梅田本店(大阪市)と阪神梅田本店(同)でそれぞれ140人を超える従業員の感染が発生。伊勢丹新宿店でも200人を超える感染者が出た。

 共通するのが地下の食品売り場の従業員で感染が広がった点だ。三越伊勢丹ホールディングスの担当者は「地下は換気が難しく、従業員用の更衣室など密集する場面がある」と売り場の特徴を指摘する。

 これまでも従業員同士の接触機会には対策が講じられてきたが、換気が悪く、小規模な食品テナントが多い「デパ地下」で対策強化が必要なことは盲点となっていた。同社は地下の休憩室の数を増やしたり、着替えの時間が重ならないようにテナントの営業時間をずらすなどの工夫を行っている。

「職場外」の職場感染も

 感染の場面が想定からずれていたとみられるのは、電子部品大手の村田製作所のケースも同じだ。同社の福井村田製作所武生(たけふ)事業所では8月3~24日までに98人の感染者が確認された。職場で感染が広がったというよりも、従業員同士が家族ぐるみの付き合いをする中で感染した可能性が高いという。

 地方都市の製造業の現場では、地元で採用された協力会社の社員が勤務していることが少なくない。都市部の企業と異なり、職場を離れてからもプライベートで交流することは多く、同社の担当者は「職場の外での指導の徹底ができていなかった」と話す。

 外食大手のワタミでも7月に清水邦晃社長ら16人の感染を確認した。感染源の特定はできていないが、社内で行った試食会の場などで広がった可能性があるといい、短時間であっても会食には警戒が必要なことを示す事例といえそうだ。

 厚生労働省によると、直近の3週間で確認された集団感染の発生場所は職場が1位で全体の3割を占める。集団感染の発生は事業継続上のリスクといえ、実際、阪急阪神百貨店では阪神梅田店を2日間休業、村田製作所も武生事業所の操業を31日まで停止する事態となっている。

「感染者いる前提で対策を」

 東邦大学の小林寅喆(いんてつ)教授(感染制御学)はデルタ株が増えている現在の感染状況について、「これまでの対策では防げなくなっている」と指摘。テレワークなど人流を減らす取り組みが最も有効としつつ、「やむを得ず出社する場合も社内に感染者がいるという前提で感染対策に向き合うことが重要だ」と話している。

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