コロナ感染者減、世界で「独り勝ち」も…水際対策の緩和、本当に大丈夫? 

検疫作業を待つ入国者の様子=9月、成田空港

 新型コロナウイルスの水際対策について、政府は8日からビジネス目的の短期滞在者の新規入国を認めた。ワクチン接種済みの場合、入国後の待機期間も従来の10日間から3日間に短縮された。国内の感染者は激減しているものの、欧米や韓国では感染増が止まっていない。新たな変異株が流入した場合、感染再拡大の恐れはないのか。

 国内の10日の新規感染者は205人。大阪府が26人、東京都が25人、埼玉県が17人など全都道府県で30人を下回った。

 一方、米国は今月に入って1日の新規感染者が7万~12万人で推移している。「デルタプラス」と呼ばれる変異株が広がる英国は4万人前後、ドイツも10日の新規感染者が5万人を超えて昨春以降最多になった。韓国も10日の新規感染者が2520人となった。

識者「これ以上の継続は無意味」「変異株流入なら再拡大も」

 ワクチン接種も主要国でトップクラスとなり、現状では「独り勝ち」ともいえる日本は入国規制の緩和を進める。海外に出張した日本人の帰国後の待機期間も接種済みであれば3日間に短縮。これまで原則として認めなかった留学生や技能実習生の入国も再開させる方向だ。

 政府は今年1月、感染拡大や変異株流行を受け、外国人の新規入国を原則停止し、人道上や公益上の理由がある場合のみ受け入れてきた。

 水際対策の緩和について、元厚生労働省医系技官の木村盛世氏は「治療法が確立し、感染者の免疫がワクチン接種者と同程度になるという研究も出ており、インフルエンザ同等のウイルスになったとみなして海外の往来を再開させてもよいと考える。水際対策が感染拡大防止にどれほど貢献したか確たるデータもなく、これ以上の継続は無意味だ」と語る。

 ただ、緩和には国内の医療体制や制度の整備などの条件を満たすことが不可欠だという。木村氏は「昨秋のように感染者減に気を取られて緩和論一色になるのは避けたい。医療逼迫(ひっぱく)で混乱を来たさないためにも、病床確保や指定感染症のレベルを引き下げるなどの議論もセットで行う必要がある」と指摘する。

 一方、東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は「経済を考慮すればやむを得ない措置だが、『第6波』や海外からの変異株流入の懸念があり、本来は、もう少し緩和時期の先送りが望ましい」との見方を示す。

デルタプラス、ミュー…新たな変異株も

 海外ではデルタプラスのほか、コロンビア由来の変異株「ミュー株」の動向も注視されている。東大の研究者らは米医学誌で、従来のウイルスに比べ、ミュー株に対しては抗体の働きが低下するとの研究を発表した。ミュー株は日本国内でも9月に確認された。

 児玉氏は「海外で拡大する変異株は従来株より感染力が強く、国内に流入すれば再拡大の可能性がある。海外からの渡航客が感染対策への意識が低い傾向もあり、行動計画書の提出義務付けや、行動経路を追跡するアプリの導入など負担にならない制度も強化すべきだ」と強調した。

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