【平賀充記の若者解体新書~キーワードで読み解くZ世代のトリセツ】⑨若者世界で絶滅の危機に瀕する「ムダ」

朝会なんて要らない

 「朝会って要らないと思うこの頃。連絡事項をみんなの前で話すだけならメールでよくない?」。筆者とつながりのあるZ世代の若者が、Twitterでこんな投稿をしていました。そして「だから自分、朝会に出るのやめました」(#朝会ボイコット)という言葉で締めくくられています。え、マジ?出ないんだ、朝会…。

 Z世代の若者が「時間」に対してとてつもなく大きな価値を置いていることは、前回(記事はこちら⇒【平賀充記の若者解体新書】⑧「24時間戦えますか?」ってなんスか?)でもお伝えしました。

 SNSでたくさんのフォロワーとつながり、いくつものコミュニティに所属して、マルチに活動しているZ世代の若者は、オトナが想像している以上に忙しい毎日を送っています。自分がやりたい活動のためにどうやって時間を生み出すか。彼らは常に気にかけているのです。

 そこに働き方改革の法改正が加わり、残業時間の上限規制が厳格に運用されるようになりました。「同じ量の仕事を、昔より短い時間でやらないといけない。昔の人はいくらでも時間をかけられたが今は違う」。ある意味、若者は否が応でも時間を気にしながら働く必要に駆られているのです。

会議はムダの骨頂

 こうした生産性至上主義の風潮も相まって、もっともっとムダを排除していこうという機運が、ただでさえムダを嫌う若者たちの間で高まっていったのは必然的な流れといえるでしょう。それが#Z世代のムダ狩りです。

 冒頭の朝会もそうですが、まずムダ狩りの標的になりやすいのが意味なく集まること。会議はその最たるシチュエーションといえます。基本的にムダな会議は嫌い。要らなきゃ無くすべきでしょ(#いい意味で引き算思考)。無駄を減らしつつ本来やるべき仕事にフォーカスしていくのがスジ。若者はまさにこう考えています。

 コロナ禍によるリモートワークの普及もあって、オフィスで行う対面の会議はかなり減りました。心中では対面会議を望んでいるオトナ世代も、さすがにこの状況下では、能天気にオフィスでの会議を招集するのは憚られます。

 コロナ禍のおかげで(若者にとってムダだと感じる)対面の会議は激減し、テレビ会議へと切り替わってきています。テレビ会議ならオールOKというわけでは、もちろんありません。しかし、物理的移動の時間が省けたこと=生産性向上を享受できるようになったことが、若者の会議アレルギーをやや緩和させたのは間違いありません。

 むしろ今、若者がムダ狩りの標的にしているのは会議時間です。判で押したように1時間を前提にした時間設定に異を唱えているのです(#デフォルト1時間問題)。確かに短くできる会議もあります。テレビ会議だと雑談も少なく早く進行するという傾向も分かってきました。30分設定にして必要なら延長するというやり方もあります。

メールの定型文もムダ

 「お世話になります」「引き続きよろしくお願いいたします」って本当に必要なのか? スピード感を重視する若者からは、ビジネスメールの提携文もムダ狩りの槍玉にあげられます。確かにこういう形式だけのやり取りは合理化されてしかるべき流れにあるのかもしれません。

 しかし、彼らのスピード感は、実はそれどころではありません。ラインでのやり取りを見ていると、もはや文章どころか、単語さえ存在しないことに驚きます。例えば「了解」は「りょ」(#りょ族)、もしくは「り」(#り族)だけで済んでしまいます。オトナ世代が「お世話に……」の「お」を打っている間に一気に置き去りにされるスピード感です。

 そもそもLINEでは、「スタンプ」ひとつでニュアンスまで伝えられるほど、ハイコンテクストなコミュニケーションが成立しています。もはや簡単な意思疎通はビジュアルや記号だけで済んでしまうわけです。端的に伝わればいいという若者らしい文化だと思います。

 ビジネスコミュニケーションでもチャットツールがかなり使われるようになってきましたし、テキストコミュニケーションのカジュアル化が進めば、丁寧さや礼儀もどんどん不要になっていくでしょう。オンラインの世界で育ってきた世代にとっては、そんな感覚がとっくに芽生えているのかもしれません。

トリセツ…自分の時計で若者を縛らない

 オトナ世代の反論もあります。朝会に関しては「始業のスイッチを入れるためにやってるわけだから話す内容は極論どうでもいい、みんなが集まって顔を見合わせて士気を高めることに意味がある」と考えます。

 会議にしても「やっぱ、議論を尽くすからこそ、いい結論にたどり着くわけだから、なんだかんだ言って最低限1時間はかかるでしょ」という声が多数派です。「いきなり議題に入っても盛り上がらないから、アイスブレークとか和む時間も必要。会議慣れしてない若手がいる時は少しイジってあげたり、硬軟織り交ぜた進行っていうのかな、そういうのも大事でしょ」と、むしろムダの重要性を説きます。

 メールにしても、仕事とプライベートは違うというのがオトナの感覚でしょう。確かにお客さんや上司に「りょ」なんて送ったら、とんでもないことになります。

 しかし、一言で結論を伝えればいい話をだらだら続けたり、わざわざ会議するまでもない内容なのに仰々しく集めたり、ということに関しては、やはり自戒の念を持つべきです。職場で主導権を握っているオトナほど、自分の時計で若者を縛っていることを自覚する必要があります。すべてのムダを排除することもどうかとは思いますが、一方で上司の時間も部下の時間も平等に流れているという認識が大事です。


■平賀充記(ひらが・あつのり) 多様な働き方研究家。リクルートにて、FromA、タウンワーク、とらばーゆ、ガテン、はたらいくなど、主要求人メディア編集長を歴任、メディアプロデュース統括部門執行役員を経て「ツナグ働き方研究所」主宰。専門分野や若者マネジメントやリモートコミュニケーションなど。「東洋経済オンライン」「読売オンライン」など寄稿多数。近著に「神採用メソッド」(かんき出版)「なぜ最近の若者は突然辞めるのか」(アスコム)がある。

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