【平賀充記の若者解体新書~キーワードで読み解くZ世代のトリセツ】➀いいね!社交界

「いいね!」はSNS村社会を生きぬく術です

若手社会人Z世代

 そもそも「いまどきの若いやつは…」といった悩みは、約5000年前の古代エジプト時代にもあったと言われます。当然のことながら、生まれた場所は時代によって人が成長する環境は大きく異なり、それぞれの人格形成や趣味趣向、考え方に影響を及ぼします。世代間ギャップは古今東西でどこにでも存在する“古くて新しい問題”というわけです。

 例えば、昭和世代のオトナからみて「最近の若者世代は覇気がない」と思うことがあるでしょう。それは彼らが右肩上がりの成長を体験していないことで、頑張ったところで見返りが少ない、という諦観にも似た考え方が脳の根っこに鎮座しているからです。こうやって彼らなりの成長過程を改めて振り返ると、少しは彼らに歩み寄ろうという気になりませんか。本稿では、Z世代の生態をキーワード化してお伝えしながら、職場において世代間ギャップを乗り越えるトリセツを模索していきます。

デジタルネイティブ

 Z世代とは、日本では1990年中盤以降に生まれた世代を指します。定義は厳密に決められているわけではありませんが、アメリカ心理学会では1997年生まれ以降とされ、これに沿うと、今24歳以下の世代となります。つまり日本においてはつい最近社会人デビューした若手社員世代です。

 彼らの価値観や行動原理を決定づける背景として切っても切れないのがテクノロジーです。iPhoneが国内で販売開始されたのは2008年。いま24歳の若手社会人は11歳の小学生でした。彼らが育ったデジタルワールドには、高速インターネット、スマートフォン、ビデオ・オン・デマンド(VOD)、さまざまなゲーム機器、そしてSNSの存在が当たり前のように存在しています。

 そんな彼らは#デジタルネイティブと言われます。いくつものアプリをパパッと切り替えながら、次々に情報処理していく指さばき。もちろんデジタルツールを上手に使いこなすオトナもいますが、やはりネイティブとは違います。生まれた時から英語を聞きながら育った人と、大人になって英会話スクールで学んだ人との英語力の差が一目瞭然であるように。

SNS社会の住人

 Z世代の若者は「SNS社会」とでもいうべき、常時接続のオンライン空間に生活の大きな比重を置いて生きています。もっというと生活基盤のデフォルトは、もはやオンラインにあります。だから彼らはソーシャルネイティブとも呼ばれます。

 開放されたオンライン上で仲間を見つけ、そこを住み家とするSNS社会。そこには、会社という“閉じられた垣根”や、役職という“タテの関係性”はありません。Z世代の価値観は、彼らが生きるオープンなヨコ社会がベースになっています。だから昭和の上意下達は通用しません。

 またSNSは、”見て見られ“という#相互監視の社会でもあります。Z世代は、こうした中でお作法を覚えながら人間関係を構築してきました。「ここに住むなら決まりを守ってね」というある種の同調圧力。暗黙の掟に支配された社会。これってまさに「村」です。開かれているはずのSNS社会は、実は江戸時代の閉ざされた「村社会」に酷似しているのです(#SNS村八分)。

とりあえず「いいね!」押しとかないと

 こうしたSNS社会を生き抜くうえで、友達を作り、関係性を築いていくためのツールが「いいね!」なのです。友達の投稿に無心で「いいね!」を押す。それがSNSの世界では当たり前の習慣です。SNSに慣れ親しんだ若者にとっては、自分が何か投稿すれば、どんなささいな内容でも何件かレスポンスがあるというのが普通です。

 こうした習慣はオトナにも流入してきていますが、Z世代はレスポンスがなかったりしたら、言い知れぬ不安に襲われます。何かおかしな投稿をした? まわりに変なふうに思われてない? このあたりがネイティブたる所以。だからこそ友達の投稿にほぼ自動的に「いいね!」を押すのです。こうして友達に忖度した「いいね!」が激増。「いいね!」を押し合うのは、言ってみれば礼儀作法なのです(#いいね!社交界)。

トリセツ…とにかくプチ褒め!プチ感謝!

 こうしたSNS社会の習慣をZ世代は職場にも同様の感性を持ち込みます。例えば「課長、アレやっときました!」などと報告があったとき、目も見ないで「ああ」とか、素っ気ない返事をしていると、確実に「あれ?」と思われてしまいます。「いいね!」どころかレスポンスが薄い……。自分が何かおかしなことをしたのではないかと不安になるのです。

 彼らへの対処法は至ってシンプルです。褒めは質より量。「しょっちゅう褒めてたら効き目がなくなる。ここぞの時にガッツリ褒めたほうがいいのでは…」。オトナからはこんな声をよく聞きますが、それは大間違い。Z世代は、そんなカメハメ波や波動砲のような渾身の大褒め望んでいません。

 今はむしろ日常の「プチ褒め」が望まれています。「プチ感謝」でも十分効果的です。例えば報連相(報告・連絡・相談)には必ず「ちょい足し」して返す。言葉はなんでも構いません。「よくなったな」と褒めてもいいし、「大変だったろう」と共感してもいいし、「助かったよ」と感謝を伝えてもいいでしょう。

 またレスポンスも相手を承認する重要な行為です。若者からの報告や相談がメールであったとき、一言だけでも即レスしておきましょう。「ありがとう」とか「後で返すね」と送るだけで、相手には「ちゃんと見てるよ」というメッセージが伝わります。職場においても、既読スルーは許されません。

■平賀充記(ひらが・あつのり)

多様な働き方研究家。リクルートにて、FromA、タウンワーク、とらばーゆ、ガテン、はたらいくなど、主要求人メディア編集長を歴任、メディアプロデュース統括部門執行役員を経て「ツナグ働き方研究所」主宰。専門分野や若者マネジメントやリモートコミュニケーションなど。「東洋経済オンライン」「読売オンライン」など寄稿多数。近著に「神採用メソッド」(かんき出版)「なぜ最近の若者は突然辞めるのか」(アスコム)がある。

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