【マンション業界の秘密】悪徳理事長の管理組合「私物化」を許すな!

大規模物件であればあるほど、管理費と修繕積立金の額は破格になる

500戸のマンションなら“好きなように使える”2億円

 私は一般の方々からマンションに関するさまざまなご相談を承っている。大半は「このマンションを買っていいですか」という質問。ただ、一定の割合で「ウチの管理組合は…なのですが、どうしたらいいでしょうか」というご相談がある。

 実は、日本の分譲マンションは、たった70年ほどの歴史しかない。マンションの管理について定めた区分所有法という法律は、施行から60年弱が経過して制度疲労を起こしている。何度か、つぎはぎ的な改正が行われたが、根本的な問題を解決するには至っていない。

 区分所有法の決定的な弱点は、その前提にある。それは、分譲マンションの区分所有者はすべて善意の人々であるというところに立脚しているのだ。

 これは基本的に民主主義の原理に通じる。民主主義は、選挙民が自らに対して善なる所業をなすであろう政治家を代表に選ぶということを想定にしている。しかし、政治家たちは往々にして選挙民に約束したことを果たさず、自らの利益を優先させる。

 マンションの管理組合でも同じことが起こる。少なからぬ理事長が「区分所有者の利益のために」と言いながら、自分のフトコロを肥やす行為にいそしんでいる。

 管理組合の運営は、基本的に利権である。例えば、500戸のマンションなら管理費や修繕積立金で年間2億円程度の予算を執行する。その2億円をどう使うのか、ということについては、現行の区分所有法では実質的に理事長の意思に委ねられる。

 その1%を自らのフトコロに還流させたとしても200万円になる。2%ならその倍だ。

 今の制度では管理組合の予算執行内容について、理事ではない区分所有者が情報開示を求められないことになっている。事実上、理事長が好きなように2億円を使えるとも言える。

 私のところに寄せられる管理組合の運営にまつわる相談の中身は、ほとんどがこの類いの問題だ。現理事長が独裁権力を振るって組合財政を私物化しているケースである。

 管理組合と言えども、人間が運営する組織である。そこで何年も権力を持ち続ける人間は腐敗する。「絶対的権力は絶対に腐敗する」といったのは、イギリスの権威ある政治学者である。

まずは総会議事録を入念にチェック

 みなさんも自分の住んでいるマンションの管理組合の運営をチェックしてほしい。何年も理事長や理事、監事などの肩書で居座って、ボス的に振る舞っている人間がいれば、腐敗を疑うべきだ。

 彼ら彼女らが、ただ満たされない承認欲求のために、理事会に居続けるのなら、まだ問題は小さい。職業人生で満たされなかったコンプレックスを変則的に満たそうとしているだけだからだ。

 問題は、組合の資産を私物化してしまっている場合である。これは、そのマンションの存続にとって致命的な損失になる。

 1年に一度、管理組合の総会議事録というものが配布される。まずはそれを入念にチェックすべきだ。


 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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