【スマートライフ×リアルライフ】モノからコトへ コンテンツ鑑賞は「サブスクリプション」に移行

フジテレビのサブスクリプションモデル「FOD」

 ここ数年で浸透していった「購入」の新しい当たり前が、「サブスクリプション」という形態だ。そのまま日本語にすると「購読」。宅配の新聞や、雑誌を定期購読するようなイメージだ。

 現在、一般的になりつつあるサブスクリプションは、こうした旧来の購読形態はもちろん、映画やドラマなどの映像や音楽コンテンツ、さらには月単位などでの飲み放題や食べ放題といったものもある。

 たとえば、住居を賃貸にするか購入するかは意見が分かれるところだ。どんなに長く居住しても、賃貸の場合には契約が終わった時点で、その部屋は自分のものではなくなる。

 しかし、雑誌などの定期購読は違う。購読契約をすれば、料金を払い続けるかぎり定期的に最新号が届き、それはそのまま手元に残る。契約をやめると最新号は届かなくなるが、すでに手元にある雑誌や本は返却する必要はない。

 このように、カタチのあるもののサブスクリプションはわかりやすい。ところが、音楽や映像などのコンテンツにはカタチがない。「CDやDVD、BDは物ではないか」と異論を唱える人もいるかもしれないが、あれはカタチのないコンテンツに強引にカタチを与えたものだったのだ。みんなが買ったのはプラスチックの円盤ではなく、そこに記録されたコンテンツをずっと楽しむための権利だ。

 そんな音楽や映像コンテンツが、どんどんサブスクリプション制に移行し始めている。マンガや小説などもどんどんサブスクリプションになりつつある。その結果、巨大な書棚に蔵書を保存したり、大量のCDやLPレコードを所有していた人たちは、その意味が見いだせなくなっているかもしれない。

 サブスクリプションは、あるコンテンツを楽しむための権利を得るという点でCDなどと変わらない。毎月、一定額を支払い続けるかぎり、一生かかっても視聴、読了できない量や種類のコンテンツを自由に楽しめる。だが、支払うことをやめた途端、それらは自分の手元からはなくなり、それを視聴したり読んだりすることはできなくなる。料金を払っている期間だけ楽しめるのだ。それがサブスクリプションの宿命だ。

 コレクターや蔵書家といわれる人にはショックだろうが、この流れは止まりそうにない。単品でコンテンツを楽しむ権利を購入するのではなく、期間を区切って楽しむためのサブスクリプションが新しい当たり前になりつつある。

 自分の死後に、遺産としてレコードを遺すということもできない。カネに困ったときに手元のCDや本を売ってしのぐのも無理だ。終活で身の回りの物品の処分をする必要もない。契約完了でおしまいだ。なんだか寂しいが、それが現実だ。

 インターネット上のコンテンツも同様に変わり始めている。例えば、ニュースサイトの記事は今、無料で読める。読者からカネはとらず、広告主からとることで、無料でコンテンツの配布ができているからだ。一方で、サブスクリプション形式で購読料をとるサイトも増えている。

 広告によって支えられた無料のコンテンツ配信と、購読料に支えられたコンテンツ配信。これは民放とNHKのようなものだが、どうやら世の中はNHK方式にどんどんシフトしそうな勢いだ。実際、民放も放送済みのコンテンツをサブスクリプションで売っている。

 それをスマートというかどうかは難しいところだが、高齢社会ではモノよりコトを売る後者が優勢になりそうだ。(山田祥平)

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