【スマートライフ×リアルライフ】携帯端末にeSIMが浸透 2種の電話番号で着信も可能、事業者の切り替えが簡単

物理的なSIMはいちいち差し替える必要があるが、eSIMはスマホの操作ひとつで切り替えられる

 各携帯電話会社のeSIM対応が進んでいる。スマートフォンなど通常の携帯電話端末は、SIMと呼ばれる爪先サイズのICカードを中に装着できるようになっている。そのICカードに契約者の情報が書き込まれていて、そのSIMを端末に装着することで、自分が契約している電話番号での利用が可能になる。

 携帯電話が特定の番号で着信するのは、このSIMが装着されているからだ。SIMを入れ替えるだけで異なる端末が自分の電話番号の端末になる。その日の気分やファッションに応じて、まるでネクタイや腕時計のように携帯端末を別のものにできたりもするわけだ。

 eSIMはeが頭についていることから想像できるように、SIMをデータ化したものだ。物理的なICカードではなく、契約者情報をインターネット経由でダウンロードして端末に書き込み、物理的なSIMと同様に機能するようにする。

 物理的なSIMカードの装着には、そのSIMを装着するためのスペースが必要だ。今、多くの端末は1つまたは2つのSIMスロットが装備され、1~2枚のSIMを装着できる。このうちのひとつをeSIMにして、物理SIMとeSIMを1枚ずつ使える端末も増えてきた。iPhoneなどもその方式だ。

 2枚のSIMが使えると何が便利かというと、たとえばメインの回線は大手事業者のものを使い、データ通信については格安事業者のものを使うといったことができる。プライベートと仕事用の2つの電話番号で着信するようにもできる。もちろん同時待ち受けだ。eSIMなら何枚でも登録しておいてスマホの操作ひとつで切り替えることができる。

 今はまだ、コロナ禍で海外旅行の予定も立てられないが、感染状況が落ち着いて旅行ができるようになったら、海外ローミング料金が安い、あるいはプランに含まれる事業者のeSIMを設定して持ち出せば、楽しい海外旅行ができそうだ。

 eSIMは契約者情報をダウンロードして書き込む方式だから、物理的なSIMカードを郵便や宅配便などでやり取りする必要はない。ほとんどの場合、24時間の対応で、オンラインで申し込んで1時間程度で使えるようになる。

 一方で先日、iPhoneの物理SIMとeSIMの組み合わせで110番や119番などの緊急通報ができない不具合が発覚した。そうした懸念もある。

 契約が簡単で携帯電話会社を乗り換えやすいeSIMの浸透で、事業者間での競争が激化し、それが料金の低下にも貢献している。菅義偉首相が官房長官時代から携帯電話料金の引き下げを業界に要求してきたことは記憶に新しいが、その一環としてのeSIMの積極的な活用も各社にプレッシャーを与えてきた。

 携帯電話料金はこうして引き下げられてきたが、それが近い将来の日本のモバイルネットワークの進化を鈍化させる危険性も忘れてはならない。

 次世代の通信方式である5Gの浸透や、さらに次の世代の通信の研究開発には多大な投資が必要だが、その資金はわれわれが支払う毎月の料金から捻出される。

 携帯電話事業者は通信以外のビジネスにも熱心だが、やはりネットワーク整備への投資は重要だ。スマートライフにとってモバイルネットワークは欠かすことができないライフラインだ。お粗末なものになってしまっては、将来の国力にも影響しかねない。(山田祥平)

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