【自分と先祖様の防災サバイバル術】④感染症と介護

コロナで変わる避難風景 意識的に「水」を飲もう

避難所では「密」な状態ができる。新型コロナウイルスはもちろん、インフルエンザなどがすぐに広がりかねない。避難所での健康維持について考える。

今年2月、宮城・福島で震度6強の地震が発生した際は、新型コロナウイルス感染対策とプライバシー確保のために避難所にテントが設置された=2月15日、福島県相馬市

 豪雨、台風による避難勧告や指示が頻発する昨今。ところが、避難はしたものの、施設に入れず、別の施設への移動を余儀なくされる住民が相次ぐケースもある。

 新型コロナウイルスのせいだ。「密」を避けるために避難所の収容人数を絞った結果、住民を収容しきれなくなってしまったのだ。

 たとえば昨年9月に九州をかすめた台風10号。「過去最強クラス」「経験のない荒天」と注意が呼びかけられたが、内閣府のまとめでは少なくとも383カ所の避難所で、収容人数超過が起きたことがわかっている。

新型コロナの流行は、避難の光景までをも変えようとしている。

■「福祉避難所」を頼る

 行政側も手をこまねいているわけではない。各自治体では避難所の設置の際に、▷避難所の数を多く確保▷個人・世帯スペースが「密」にならないようにレイアウトする▷体温測定など体調チェック体制構築▷発熱者・濃厚接触者専用スペースを用意▷マスク・消毒液など感染症対策品を確保▷こまめな換気や清掃に留意▷避難者への面会を制限するーなどの対応策を打ち出している。

 だが、感染リスクが高く、重症化リスク、死亡リスクも高い災害弱者には、さらに別枠でのフォローが必要になる。

 知っておきたいのが「福祉避難所」の存在だ。

 例えば、都市部の自治体では、既存の高齢者施設、福祉施設と協定を結び、施設側が捻出したスペースを利用して「福祉避難所」を開設する仕組みを整えている。専門家がおり、紙おむつなど介護用品の備蓄もしやすいうえに、施設のつくりがバリアフリーとなっていることがメリットだ。

 ただ、平時から行政が高齢者の健康状態を把握していることが必要となるうえに、受け入れ態勢が整うまで数日を要するといった課題もある。加えて新型コロナの関係で、収容可能な人数を減らさざるを得ないという事態にもなっている。

■「水」が問題だ

 一般の避難所に滞在しているとき、サバイバルのために高齢者が意識すべき点は何だろう。

 答えは「水」だ。

 避難所で「脱水症」になってしまう高齢者がいるのだ。

 避難所に水があっても、「体が不自由でそこまで取りにいくのが苦痛だ」という高齢者が少なからずいるのだ。本人が周囲に水を依頼する、あるいは周囲が気を配るといったことが必要だ。

 ほかに、取りにはいけてもあえて水を飲まないという高齢者も必ず出てきて、脱水症になる。原因となっているのが「トイレ」の問題だ。どんな避難所でも、数日たって運営体制が整ってくるまでトイレは不衛生な状態になる。数も足りない。

 トイレにいく回数を減らしたいが故に、給水を我慢してしまうのだ。

 思い切って、紙おむつを使うことを考えてみてもいいだろう。健康維持のためには「1日1リットル以上」の水分補給を心がけるといい。

■認知症、家族が介護放棄も

 介護保険制度を利用して「通所型サービス」あるいは「訪問型サービス」を利用していた人は大変だ。サービスの復旧までには時間を要することが多い。

 周囲のサポートも含めて、体を動かすことを徹底したい。1週間寝込んでしまうと、筋力が1割減少してしまうという指摘もある。

 「認知症」も困難度が高い。東北の福祉関係者でつくった「災害時における在宅認知症者の避難所での具体的な支援方法のあり方検討委員会」が2013年にまとめた報告書によると、東日本大震災での避難所の84%に、平均で8人の認知症の人がおり、「イライラして落ち着かない」「徘徊」といった症状があった。

 委員会では「身近な人が対応し、静かな場所に移動させることを考えることが大切」と指摘している。

 家族の側は3日目までには多くの家族が疲労。介護放棄をするケースも複数みられた。

 委員会では「住民の理解」「専用の滞在空間やトイレの確保」「専門スタッフの配置」「家族などを支援する体制」の必要性を訴えている。

(次回は⑤ご先祖様の墓、仏壇)

※『終活読本ソナエ』2021年新春号より

★「自分と先祖様の防災サバイバル術」過去の記事はこちら★

シニアと防災①

シニアと防災②

シニアと防災③

サバイバル術➀事前の備え

サバイバル術②災害発生・避難

サバイバル術③避難生活

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