【自分と先祖様の防災サバイバル術】②災害発生・避難

“動けず” “様子見”が続出 「要支援者名簿」への登録を

避難は「迅速に」が鉄則だ。歳をとっていれば移動に時間がかかるのは必然。なりふり構わず、周囲に助けを求める必要がある。

 揺れが収まった。次は避難だ。ところが高齢者の場合、簡単には避難ができないところがもどかしい。高齢者単独での避難に要する時間は2時間半と、その他の場合より1時間長いという統計もある。

 東日本大震災後に、宮城県沿岸部で行われた調査(サーベイリサーチセンター実施「宮城県沿岸部における被災地アンケート」)に興味深いデータが出ている。

 「津波到達までの時間」をどう考えたかを聞いた質問では、年齢が高いほど「すぐ逃げないと間に合わないくらい早く来ると思った」との回答が増えている。30代では11%だったのに、70代以上では38%がそう回答している。

 しかし、実際にシニア層の避難が早く行われたかというと、そうではない。体が不自由、寝たきりといった移動が困難な人がいるためだ。

 避難手段を聞いた質問では、「車に乗せてもらい避難した」という回答が、30~50代では10%程度なのに対し、70代以上では31%もいた。

 津波の危険を察知しながらも、周囲の人が車を用意、あるいは車で迎えに来るまで、その場にとどまらざるを得なかった人が多くいた可能性がある。

■経験が邪魔する

 寝たきりなど体が不自由なこと以外に、歳を重ねたことからくる「自信」が、避難の判断を鈍らせ「様子見」といった行動をとらせることもある。

 たとえば、少し古いが1998年の福島県郡山市での洪水(死者11人)の調査報告(現・群馬大名誉教授の片田敏孝氏らの研究)では、避難勧告・避難指示を受けて実際に避難した割合が高かったのは「一般世帯」で78%だったのに対して、「要介護高齢者」は61%、「一般の高齢者」では51%の避難にとどまった。報告は「高齢者は長年にわたる知識や経験に固執する傾向があり、それが作用していると思われる」と指摘している。

 この数年、多発している台風や豪雨でも、過去の経験が避難判断を鈍らせてしまい、被災あるいは九死に一生を得たといった高齢者の話は、災害のたびに報じられる。

■自治体の名簿に登載

 高齢者の避難をサポートするために、東日本大震災後に各自治体では「避難行動要支援者名簿」の作成に力を入れている。

 行政が把握している「要介護高齢者」や「障害者」の情報を活用して名簿を作成。市区町村の担当部局が本人と連絡をとって、了解をとったうえで、民生委員や自治会役員などと避難支援体制を組むことになっている。

 名簿に漏れた場合でも、申告すれば掲載してもらえることもある。

■訓練に参加を

 ただ、災害時には「自助」「共助」そして「公助」が基本。普段から近所の人と交流を図り、災害のときに対処してほしいことを事前に伝えておくことが、何よりも大切であるのは言うまでもない。

 一番いいのが、地域の避難訓練に参加することだ。どんな人が近所にいるのかわかるし、サポートする側も弱者がいることを認識してくれる。

 訓練では、自治体が管理している非常食のなかから保存期間が切れそうなものが配布されることもある。どんな食料が保管されているかを知れば、自分の非常持ち出し品をそろえる際の参考になる。

(次回は③避難生活につづく)

※『終活読本ソナエ』2021年新春号より

★「自分と先祖様の防災サバイバル術」過去の記事はこちら★

シニアと防災①

シニアと防災②

シニアと防災③

サバイバル術➀事前の備え

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