【いきもの語り】コロナで金魚すくい打撃も…産地奮闘

水槽で元気に泳ぐ佐々木養魚場の金魚。好きな個体を網ですくって購入できる=8月30日、江戸川区

 夏祭りの風物詩、金魚すくい。新型コロナウイルス禍で祭りばやしが遠くなって久しいが、金魚の日本三大産地とされる東京都江戸川区の老舗では、金魚すくいで見かける「和金」から、1匹数万円以上する「ランチュウ」など幅広い種類の金魚が展示販売されていた。

 「涼しくなるこれからの季節は水温の管理がしやすく、金魚を飼い始めるのにおすすめですよ」

 天保年間から続く佐々木養魚場(同区)の代表、佐々木政明さん(47)は、そうアドバイスする。

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 観賞魚として飼育されることが多い金魚は、実は非常にデリケートな生き物だという。

 「1匹が病気で死ぬと、あっという間に伝染して全滅することもある」。1つの池で飼育していた3万~4万匹の金魚が死に絶えることも珍しくない。雨水が水槽に入っただけで急激な水質の変化に耐えられずに死ぬケースや、異なる環境で育った金魚が同じ水槽にいると、免疫が弱い個体が、病気をうつされて死んでしまうこともある。

 そのため、展示販売している金魚の異変チェックは毎日かかさない。「尾びれに白い斑点がある。病気なので薬を入れています」。素人目にはよく見ないと分からない尾びれの異変も、簡単に察知する。

 デリケートな生き物だからこそ、無事に育ったときの喜びはひとしおだ。「立派な一匹の金魚、あるいは大量の金魚を無事に育てられたときはうれしい」

 水温が20度前後で落ち着く10、11月は、初めて金魚を飼う人には最適。お店で購入する際は「活発に泳ぎ回って水槽の中段くらいにいる金魚が元気な個体なので、おすすめ」だそうだ。

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 江戸川区での金魚の養殖は、明治時代に始まったとされる。先の大戦時はエサ不足や養殖池の田畑への転用などで、品種絶滅の危機が迫ったこともあったが、戦後は区内の大規模養殖家が復活して再び盛んになり、海外輸出も始まった。都市化が進んだことで区外の養殖業者の多くが卸売り専門となり、江戸川区は愛知県弥富市、奈良県大和郡山市と並ぶ金魚三大産地と呼ばれるようになった。

 ただ、昭和30年代ごろから江戸川区でも養殖業者の転廃業が始まり、区は文化を残すため、金魚の展示・即売、金魚すくいなどを楽しめる金魚まつりを毎年開いていた。

 この事業が、コロナ禍で2年連続中止になった。

 佐々木養魚場も、祭りなどで例年60~100件ほどあった金魚すくい用の和金の注文が、今年はゼロに。佐々木さんによると、和金しか飼育していない業者も多く、出荷先がなくなり、廃業する人も出てくる可能性があるという。

 「でもウチは家業ですし、しっかり続けていきたいですね」。金魚業界にも波及するコロナ禍に、老舗の意地と、三大産地の自負で立ち向かう。

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