【奥村奈津美のミライ防災+】ペットを飼っている人必見!ペットと自分の命を守るためにできること

■熱海土石流から1ヶ月・被災ペットの今

 熱海土石流の発生から1ヶ月。いまだおよそ200人近くがホテルでの避難生活を続けていますが、現地で被災ペットの支援に奔走している団体に出会いました。平時から熱海市内で猫の保護活動を行なっているNPO法人「くすのき」です。

 「東日本大震災で悔しい思いをした経験があり、地元で何かあったらすぐに支援に動こうと準備していた」という「くすのき」の代表、那須みかさんにお話を伺いました。

 土石流発災の翌日から救助・捕獲に乗り出した「くすのき」。規制線ギリギリのところに捕獲機を仕掛けるなど、泥だらけ、熱中症と戦いながら、レスキュー活動を続けています。 人間と同じく、今も行方不明となっている動物の救助依頼があるそうです。

 現在、保護している動物は80匹。そのほとんどが猫です。熱海市では、ホテルが避難所となり、被災住民を受け入れていますが、ホテル内での同行避難は難しく、ペットを自宅に残して避難して、餌やりに通っている方もいるそうです。

 「ペットフードやトイレなど、必要なものを支援物資として渡すこともできる。ペットに関しての相談は無料で受けるので電話してほしい」と那須さん。

 今後、課題となってくるのが、避難所から「みなし仮設」などに移り住むときです。 熱海市内は「ペット不可」の賃貸物件がほとんどだからです。

被災動物救済センター

 「ご高齢の方が多く、ペット支援があることを知らない人も多い。 チラシを作ったりして、困っている方に情報を届けていきたい」と話します。

 NPO「くすのき」では、無料で被災動物の保護、一時預かりを実施しています。活動は全国から支援物資や支援金で支えられているとのことです。 活動を応援したいという方はNPO「くすのき」のホームページをご覧ください。https://npo-kusunoki.life/

■あなたはペットと同行避難できますか?

 では、大切な家族、ペットの命も自分の命も守るためにどんな備えが必要なのか?環境省のガイドラインの策定にも携わったNPO法人「アナイス」代表、平井潤子 さんに伺いました。

 まずは、「同行避難」について。

 「同行避難」とは避難行動を示す言葉です。 災害が発生して避難する必要があった場合、ペットは一緒に避難することが原則と なっています。

 「必ずしも避難所に一緒に行って室内同居するという意味ではないことを知っておいてください。指定の避難所がどのような受け入れ体制になっているかを確認した上で、どう避難するか考えておくことが大切です」と平井さん。

⇒詳しくはインタビュー動画(「飼い主ができるペット防災!同行避難・同伴避難の違い、2つの飼い主責任とは?」)をご覧ください!

 その上で、飼い主が必ずしておくべきことを7つを伺いました。ペット防災7箇条です。

▶ペット防災7箇条

その1:住む場所、ペットの居場所を見直す!

 飼い主がいなくても、ペットが怪我をしない空間作りが大切です。自宅が耐震基準を満たしているか、地域の災害リスクなどを確認した上で、家具・家電の転倒防止やガラスの飛散防止などの基本的な対策を徹底しましょう。ペットの居場所がシェルターとなるような工夫も一つです。災害が発生して停電になるとエアコンも止まるので、どの部屋で留守番させるかなども考えておく必要があります。

その2:ペットの備蓄は1ヶ月分!

 人間と同じで、普段食べているものが入手できるとは限らない状況になります。平井さんの話によると、東日本大震災では、半年間一度もペット用品の支援がなかったという避難所もあったそうです。薬や療法食など特別なものは特に手に入らなくなります。また、動物病院も被災し、巡回診療などが来ない恐れも。1ヶ月分は常に備蓄し、ローリングストック(循環備蓄)しておきましょう。

その3:避難に必要なキャリーを用意しよう

  最近はリュックタイプなど、さまざまなキャリーバッグも出ています。ペットを複数頭飼っているという方もいると思いますが、どのように移動するのか避難方法を検討し、普段からそれらを使って、ペットにも慣れさせておく必要があります。 長期避難を考え、折り畳み式のソフトケージなどもあると役立つかもしれません。

その4:普段から役立つ迷子対策を!

 迷子対策をしておくことは、災害時だけでなく、日常生活でも役立ちます。 首輪などに情報を記載する方法もありますが、大規模災害の場合は、被災後、長期間の迷子で痩せてしまい、首輪が取れてしまったということもあったそうです。マイクロチップの装着を検討し、また、飼い主の情報を更新することも忘れずにしておきましょう。ペットと一緒にいる写真を撮り携帯電話に保存するなど、自分が飼い主だということを証明する情報を残しておくことも大切です。

その5:家族単位で避難訓練をしよう!

 犬のお散歩を兼ねて、避難先まで避難訓練をしてみましょう。猫の場合は、キャリーバッグで出かけることがストレスにもなりますので、ペットボトルに水を入れ、猫の体重と同じ重さに調節したものをキャリーバッグに入れて歩いてみましょう。避難用品を持ち、さらにキャリーバッグを持って歩いてみることで、キャリーバックのタイプを見直す機会にもなります。避難途中にはぐれることや、家族がバラバラにいる時に被災することもあります。集合場所をできるだけ具体的に決め、また、伝言を貼る場所なども決めておくといいでしょう。また、避難所だけでなく、親戚・友人宅、ペットも泊まれる宿泊施設、車中泊など、あらゆる選択肢を考えて事前に準備しておくことが大事です。

その6:地域でペットコミュニケーションを!

 普段から、お散歩仲間など地域の飼い主同士のコミュニケーションを大切にし、助け合える仲間作りをしておきましょう。集合住宅の場合、エレベーターが止まって高層階への上り下りが大変な時に、低層階に物資を持ち寄って共同飼育スペースを作るなど、協力し合うこともできます。

その7:徒歩圏内にホームドクターを見つけておこう!

 災害時、何かあった時に駆け込めるホームドクターが近くにいると安心です。災害後は、嘔吐、下痢、食欲不振、咳など、ペットも体調を崩すことが多いそう。異変に気付いたら、早めにかかりつけの獣医に相談しましょう。ちなみに飲んでいる薬なども携帯電話で保存しておくと良いそうです。

 平井さんにお話をお伺いして、改めてペットへの備えもできることがたくさんあるーと前向きな気持ちになりました。 ご紹介したのは、基本的な対策の一部ですが、もっと詳しく知りたい方は、平井さんが監修した本がおすすめ! 犬、猫とそれぞれのペットの特性を踏まえた備えがまとまっています。

■飼い主力と防災力

 平井さんへのインタビュー動画にもあったように、自治体の避難所での同行避難に対する備えは、ハード・ソフトともにまだまだ道半ばという現状です。ただ、その地域の避難訓練に率先して参加し、飼い主同士が協力して避難所での環境・運営整備などに携わるなど、できることはあります。

 そして、ペットとの同行避難には時間がかかります。危険な場所に住んでいる方は、「警戒レベル3・高齢者等避難」などで早めの避難を心がけてほしいです。

 明日は我が身、自分事として、飼い主の方には自分自身の防災力、そしてペットの飼い主としての防災力も高めてもらえたら幸いです。

■奥村奈津美(おくむら・なつみ)
防災アナウンサー×環境省アンバサダー。1982年、東京生まれ。広島、仙台で地方局アナウンサーとして活動。その後、東京に戻りフリアナウンサーに。TBS『はなまるマーケット』で「はなまるアナ」(リポーター)を務めるほか、NHK『ニュースウオッチ9』や『NHKジャーナル』など報道番組に長年担当。東日本大震災を仙台のアナウンサーとして経験。以来10年間、全国の被災地を訪れ、取材や支援ボランティアに力を入れる。防災士、福祉防災認定コーチ、防災教育推進協会講師として防災啓発活動に携わるとともに、環境省 森里川海プロジェクトアンバサダーとして「防災×気候変動」をテーマに取材、発信中。2歳児の母。著書「子どもの命と未来を守る!防災「新」常識~パパ、ママができる‼︎水害、地震への備え~」(辰巳出版)。毎週オンラインで防災講座を開催中!

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