【奥村奈津美のミライ防災+】サステナブル防災のススメ②車中泊

雨の季節を前に知っておきたい避難情報と車中泊の準備

車中泊では車内をフラットにできるかどうかが非常に重要だ

ファーストクラス車中泊のすすめ

「避難情報が変わります!」

 先月、改正災害対策基本法が可決成立し、今月20日から施行されます。私たちに直接的に関係する主な改正点は、避難情報の変更です。2019年から「5段階の警戒レベル」が導入されましたが、「レベル4」が大きく変わります。レベル4には、これまで「避難指示」と「避難勧告」という二つの自治体からの避難情報がありました。

 それが、変更後は「避難指示」に一本化されることになりました。危険な地域に住んでいる方は、「避難指示」が出たら全員避難となります。また「レベル3」は、これまでは「避難準備・高齢者等避難開始」という避難情報でしたが、「高齢者等避難」となります。「高齢者等」の「等」には、避難に時間がかかる方が含まれています。

 高齢者だけでなく、障害者、妊産婦、乳幼児、また闘病中の方やケガをされている方なども、このレベル3「高齢者等避難」となります。ぜひ、新しい避難情報の意味を知っておいてください。

 その上で、今はコロナ禍。感染リスクも考え、避難先は避難所だけでなく「分散避難」の考え方が大切になってきます。安全な場所であれば、友人や親戚の家、ホテル・旅館なども避難先となります。また、去年から内閣府防災でも「車中泊」も避難の選択肢の一つとして挙げられています。

 ただ、「車中泊」は、エコノミークラス症候群など様々なリスクもあり、車中泊をするためには準備をしておかないと大変危険です。では、どんな準備をしておくと良いのか? 普段からアウトドアで車中泊を楽しんでいるアウトドア防災ガイドのあんどうりすさんに車中泊の備えをお伺いしました。

「車中泊は、ファーストクラスで、ば・す・だ・し・で!」

 「ば・す・だ・し・で」というキーワードをもとに、準備をしていくと良いと話すあんどうさん。

「ば」=場所
 まず、車中泊するときに大切なのが、安全な場所を選ぶことです。浸水するエリアや土砂災害の恐れがある場所は避ける必要があります。ハザードマップ、自治体の情報を確認し、どこなら車中泊ができそうか決めておくといいでしょう。また、車の方が逃げやすいと思う方が多いのですが、これまでの災害では移動中に亡くなっている方もいます。浸水する前に、明るいうちに避難し、アンダーパスなど危険な道を通らないように、移動ルートも考えておきましょう。

「す」=水平
 これは命に関わってくるので必ず確認してください。車内がフラットになるかどうか、そして、自分の身長で体を曲げないで寝られるかどうかです。車中泊が快適にできるかどうかは体格と車種の組み合わせで変わってきます。フラットにするのが難しい車種では、クッションやマットを使ってフラットに近づけたり、それでも寝にくい場合は、車種に合ったベッドキッドや自作でベッドを作る人もいます。ほぼベッドのような状態で寝られるようあらかじめ準備をしておきましょう。椅子に座ったまま寝たり、水や食料を取らなかったり、無理して車中泊を続けるとエコノミークラス症候群の恐れもあります。事前に練習すればファーストクラスの寝心地を目指せます。

「だ」=断熱
 車は、熱しやすく冷めやすい、鉄とガラスでできているので、実は、テントより寒く暑くなりやすいという特徴があります。特に、窓やドアは冷えやすいので、断熱マットを付けたりと対策をする必要があります。空気は自然界最強の断熱材!エアクッション、プチプチ、段ボール箱なども断熱材となります。カーテンは隙間ができるので断熱性が低いそうです。また、JAFによると、春先の20度くらいの気温でも車内は50度くらいまで温度が上昇することがあるそうです。夏場は、網戸をつけて窓を開けるなどしたとしても、車中泊には厳しい状況になります。気温の低い標高の高い場所に移動するなど暑さを凌ぐ対策も考えておきましょう。

「し」=収納
 これは、命に直結する問題ではないですが、車中泊で生活する上では欠かせません。夜、ヘッドライトが見つからない、外に出ようと思っても靴が見当たらないなど、ストレスにもなります。車の天井部に収納するスペースがある車種もあります。快適な避難生活を送れるように収納スペースも考えておくといいでしょう。

「で」=電気
 車からの発電を使えるように、また車の中で電家製品を使えるようにポータブル電源を準備しておきましょう。スマホは車で充電することもできます。また、ポータブル電源があれば、機種によっては炊飯器など電気調理器やパソコンを使用することができます。ハイブリットカーや電気自動車は、概ね1500ワットまで発電できるので、車と自
宅のエアコンや冷蔵庫を繋いで使用するという方法もあります。過去の災害でも、家での避難生活で車が役立ったという人もいるそうです。

 アウトドアで年に何度も車中泊を楽しんでいるあんどうさん。自分なりのファーストクラスを目指して車内を環境整備し、できれば雨の日に車中泊を体験しておくことがおすすめだそうです。

 「車中泊は準備をせずにすると災害関連死となるリスクもある。日常で一度試して快適だと思えたら災害時もできると、車中泊をしても大丈夫か確認してほしい」と話します。雨の季節がやってきます。車中泊を考えている方は、ぜひ一度、車中泊訓練をやってみてください。

あんどうりすさんへのインタビュー動画はこちら⇒

■奥村奈津美(おくむら・なつみ)
防災アナウンサー×環境省アンバサダー。1982年、東京生まれ。広島、仙台で地方局アナウンサーとして活動。その後、東京に戻りフリアナウンサーに。TBS『はなまるマーケット』で「はなまるアナ」(リポーター)を務めるほか、NHK『ニュースウオッチ9』や『NHKジャーナル』など報道番組に長年担当。東日本大震災を仙台のアナウンサーとして経験。以来10年間、全国の被災地を訪れ、取材や支援ボランティアに力を入れる。防災士、福祉防災認定コーチ、防災教育推進協会講師として防災啓発活動に携わるとともに、環境省 森里川海プロジェクトアンバサダーとして「防災×気候変動」をテーマに取材、発信中。2歳児の母。著書「子どもの命と未来を守る!防災「新」常識~パパ、ママができる‼︎水害、地震への備え~」(辰巳出版)。毎週オンラインで防災講座を開催中!

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