【覆面トレーダーK 億り人への道】投資は猿のダーツ投げ?むなしき「分析」と「理由」

年金不信、低所得、人生100年…。このままじゃヤバい!コロナをキッカケに生活防衛を本気で考え始めた40代サラリーマンが、投資に挑む。目指せ、ハッピーリタイア!

 考えれば答えにたどり着く、というのは一種の幻想だろう。

 ただ、人間は考えずには生きられない。相場も考えずには張れないが、「思考は時間のムダ」という有名な逸話もある。

 《ウォール街のプロが選んだ銘柄のポートフォリオと、猿がダーツを投げて選んだ銘柄で組んだポートフォリオ。その成果は時間が経つにつれ、ほとんど変わらなかった…。》「ウォール街のランダムウォーカー」(バートン・マルキール)

 のっけから、なんだか哲学チックになってしまったが、最近、「相場心理学」的なことにハマっている。きっかけは、8日夜の世界同時株安だった。

理由は「分からない」

 7月8日、日本時間夕刻から欧州株が大きく下げ、日経平均先物の夜間取引も追随。米国株も下げ、米ドルも下げ、日本円とスイスフラン、ゴールドが買われる…。投資家がリスクに慄き、安全資産に資金が移動する典型的な「リスクオフ」状態となった。

ドル円のチャート。「Trading View」より

 一体、何が起きたのか?

 テレビの市況解説番組やYouTubeでは、株価・ドル急落の背景がアレコレ語られていた。

 (1)コロナ・デルタ変異種の猛威

 (2)米国、中国の経済指標の回復ペースが鈍化。景気回復に黄信号

 (3)東京に4度目の緊急事態宣言

 (4)ゴールドマンサックスの著名ストラテジスト、アビー・コーエン氏が「高すぎる株価」に警告

 …他にも諸説あったが、いずれも説得力に乏しい。(1)(2)は2カ月前から言われていたし、(3)は世界を揺るがす大事ではない。大統領や中央銀行総裁でもあるまいに(4)も関係ないだろう。その後、本原稿執筆時点(15日午前)で(1)(2)(3)ともさらに悪化しているのに、株とドルは値を戻しているから、いかに8日時点の解説が的外れだったか分かる。つまり、下げの理由なんて分からなかったし、かなりテキトーなシロモノだったのだ。

「理由」の泥沼

 個人トレーダーが常に知りたがる、値動きの「理由」「根拠」は、ある種の“罠”だ。

 そもそも、値動きを分析するという行為は、以下の思考パターンに起因する。

  1. 適切な分析をすれば値動きの理由が解明でき、予見もできる「はず」だ
  2. 今回読めなかったのは分析が誤っていたか、情報が足りなかったからだ
  3. 情報量と分析の精度を上げれば、徐々に勝率は上がるだろう

 僕も含め、多くの人は(1)を疑わず、(2)と(3)をループするのだが、よく考えると根本的にズレてる気がする。(1)がそもそも誤りだからだ。

 「正しい株価予測」がこの世に存在するなら、その方法は一つしかない。

 「その日、その銘柄に入ってくる売買注文をあらかじめ全て把握していること」。値動きとは買い注文と売り注文のバランスなのだから、注文の価格と量、来るタイミングをすべて事前に知れれば、値動きは「正確に」予測できる。が、それは神様にも不可能。

 そこで、人間は何かと「理由」を付けたがる。指標が強いから、パウエル議長が発言したから、テクニカル分析でサインが出たから…。から、から、から。動く「理由らしきもの」はごまんとあるが、それが正しいとは誰にも証明できない。

 皆が「買いだ!」と思うニュースが伝わり、買い派が多数になれば、実際値は上がる。それが後付け的に、上昇の「理由」とされるだけだ。

 だったら、思考やリサーチという投資の「入口」部分にあまり時間をかけず、「出口」は所詮ランダムなコイントス、と割り切って実戦を重ねた方が、結果的にお金は増える気がする。

損失だけは決められる

 「ランダムなコイントス」思想には、大きなメリットがある。損切りが早くなるのだ。下手に根拠や理由らしきものを持つと、それに執着し、値動きが逆行しても含み損を我慢しがち。コイントスなら、ツイてねえな、でサッサと切れる。このメンタルの差は結構大きい。

【自分で決められる】【市場(他人)が決める】
取引するか、しないか利益になるか、損失になるか
損失をどこで止めるか利益がどこまで伸びるか

 こう整理すると、なんか受動的・消極的っぽいが、これは厳然たる事実。まあ、そんなもんだ、で気楽に割り切るのが精神衛生上もいい。

 以下は、最近の「割り切り・少思考トレード」の一例である。

豪ドル・米ドルのチャート。 FX取引ツール 「MT5」より

 日足(Daily、左上)で大まかな上下の流れを確認。4時間足(H4、右上)に引いた三角形の赤いライン、上にタッチしたら売り、下にタッチしたら買いの単純作業。赤い三角のレンジ内で移動するとの想定だ。

 細かいニュアンスは15分足(M15、右下)や5分足(M5、左下)で把握。赤いラインを外側に破られたら、すぐに損切り。なぜ破れたか、何があったのか、「理由」は詮索しない。シンプルが一番だ。


■覆面トレーダーK 都内在住の40代の男。アーリーリタイヤを目指し、会社勤めの傍ら、結構ガチで兼業トレーディングにいそしむ。主戦場は、短期投機でFX、株価指数先物・オプション、暗号資産。長期保有では米国株。趣味は酒。

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