【馬渕磨理子の新富国論】ワクチン相場の歩き方~これから上がる最強の日本株

ワクチン接種1日100万回「リベンジ消費に備えよ」

 この10年、SHARPや東芝などかつて日本を代表するものづくりメーカーだった日本企業が一部事業を売却、アジアの大手企業に買収される事例を数多く見てきました。かつて盛んに叫ばれた「ものづくり大国日本」の姿はそこにはなく、暗澹たる日本経済の未来を憂う声も少なくありません。そんな中、キラリと輝く“一番星”のような例外も存在します。トヨタ自動車や日立製作所です。日本を代表する老舗企業が株式市場で再評価されている姿に力強さを感じている人も多いでしょう。そして、ここから始まる「ワクチン相場」では、割安に売り込まれた「優良老舗企業」が復活を果たすでしょう。

日本の「過剰貯蓄」28兆円で消費大爆発?

 日本国内におけるコロナ変異種の拡大、緊急事態宣言の延長、インフレ懸念など不透明感を受けて、株式市場は“彷徨う”値動きを続けています。しかし、菅首相は6月中旬以降、1日100万回のワクチン接種を達成するとの見通しを示していることから、ワクチンの普及は時間の問題であると考えられます。そこで、「経済の一歩先取り」をして銘柄を選定することをおすすめします。ワクチン接種が進むことで個人消費が拡大し、観光や外食において需要が“大爆発”する可能性があります。

 一足先に、米国では経済が動き出しています。5月3日ニューヨーク州のクオモ知事は、これまで州内の飲食店や小売店などに課してきた収容人数の制限を19日から撤廃すると発表しました。これは、市民生活の正常化に向けて大きな前進となります。米個人消費は堅調となり、コロナでダメージを受けたサービス業を中心の回復が見込まれています。ワクチン接種の普及とともに経済が正常化することで、今まで抑圧されていた反動による「リベンジ消費」が起き始めています。

 米国人はコロナ禍で多額の貯蓄を積み上げており、ブルームバーグ・エコノミクスはその額が約180兆円に上るとの推定に及びます。経済再開に伴い、この資金が一気に、消費に流れ込むわけです。ワクチン接種が進むことで、当然、日本でも同じ事が起きる可能性が高いです。日本においては「約28兆円の過剰貯蓄」が溜まっていることから、ワクチン接種の進捗状況に応じてサービス業の需要が爆発する可能性が考えておく必要があります。

流通、外食、運輸、旅行…上昇局面へ

 リベンジ消費として回復の兆しが期待される代表格が百貨店、外食、旅行などの業種です。日本百貨店協会が発表する全国百貨店売上高は3月(21.8%増)、4月(167.0%増)と2か月連続でプラス。回復の兆しが見え始めています。 また、ファミリーレストラン含めた外食産業や映画館、レジャーなどは、客足が徐々に復調すれば売り上げも回復が期待できます。

 その他、個人消費の増加とともに、移動の制限が解放されれば、鉄道、航空業界の立ち上がりが予想されます。例えば、現地体験に特化してたツアーやアクティビティー体験のオンライン予約サービスを運営している「ベルトラ」は期待感から株価が上昇しています。ベルトラのような時価総額200億円台の小型銘柄に期待先行の値動きが出ていることから、この先の相場の兆しを占うことができるでしょう。

 そのほか、航空券予約サイトを手掛ける「エアトリ」、旅行比較サイト「トラベルコ」を手掛ける「オープンドア」、複数の宿泊予約サイトを 一元管理する「手間いらず」などの中小型銘柄も動き出しており、いよいよ、時価総額の大きい優良銘柄が動き出す可能性が高いです。良い銘柄が売り込まれていたことを考えれば当然の流れでしょう。

 具体的には、百貨店のJフロントリテイリング、三越伊勢丹HD、外食ではロイヤルHD、鉄道・航空ではJAL、ANA、JR東海、JR東日本、レジャー・旅行ではオリエンタルランド、エイチ・アイ・エスなどが代表格として挙げられます。

自社株買い再開の動きを狙う3フェーズ

 コロナ禍で企業の株主還元は大きく影響を受けました。業績の見通しが立てられずに手元資金の確保を優先する企業が増加していました。しかし、ワクチン接種の普及によって世界経済の正常化の確度が高まっており、2021年度は自社株買いを再開する企業が増えそうです。

 自社株買いを実施すれば、1株あたり利益が高くなる、つまり株価の価値が高まる事から株価が上昇しやすい傾向にあります。事例として、ビックカメラ傘下の家電量販店「コジマ」は4月8日に自社株買いを発表した後に株価が上昇しています。そのほか、トヨタ自動車は5月12日に自社株買いの発表をしたことが好感され、株価が上昇しています。

 そこで、注目企業の探し方としては、19年まで自社株買いの実績が豊富にあり、20年度前半に自社株買いを行わなかった企業の中で収益増となっている企業や、アナリストによる自社株買いの予想がある企業が狙い目です。代表的なものとして、アズビル、大日本印刷、カカクコム、ヒロセ電機、三菱UFJ、トヨタ自動車が挙げられます。

 国内でのワクチン接種回数はすでに1100万回超。人口比では8%を超えました。米国を参考にすれば、ワクチン接種率が8%を超えた後に、経済再開銘柄群がそろって再度上昇トレンドに入ったことを考えれば、日本株も同じような相場の動きになることが考えられます。

ワクチン相場で注目の銘柄はこれだ!

■馬渕磨理子(まぶち・まりこ) 
経済アナリスト。フジテレビ『Live News α』レギュラーコメンテーター。ムック本『ギガトレンド 馬渕磨理子』がヒット中。プレジデントオンライン6,000万PV超。『PRESIDENT』『週刊SPA!』『日経CNBC』『ダイヤモンド』『ラジオ日経』など連載・出演多数。ミス同志社。京都大学公共政策大学院卒(修士)。https://twitter.com/marikomabuchi

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