【こんな時代のヒット力】コロナ禍で明暗分かれた飲食業界 市場を牽引する「焼肉ライク」

焼肉ライク新橋本店

1人用ロースター、注文はタッチパネル

 コロナ禍で、飲食業界では明暗がくっきり分かれている。好調の筆頭は、焼肉だ。コロナ以前から、取り組んでいたまめな換気やタッチパネル注文の安心感。こうした状況でもハレの日には、スタミナが付く特別なものを食べたい意識を、巧みにとらえた。

 市場を牽引(けんいん)するのは、2018年に東京・新橋に1号店を開業した「焼肉ライク」(渋谷区)。焼肉ファストフードというカテゴリーを開き、いわゆる「1人焼肉」に特化した業態だ。代表の有村壮央(もりひさ)さんは「個食化の流れから、市場としては顕在化していないだけで恐らくあると考えた」という。

 ヒントにしたのはすし業界。回転ずしが登場する前、7000億円規模の市場だった。そこに回転ずし3000億円が加わることで、1兆円の巨大市場に成長した。現在は51%は回転ずしだという。焼肉市場は5500億円規模だったが、ここに焼肉ファストフードの3000億円~4000億円を加えることが出来れば、1兆円市場が形成されると考えた。

 1人焼肉という文化は、関西圏を中心にある程度広がっていた。しかし、「ひとりでお酒を飲みながら焼肉をつまむ」という飲みの文化で、客単価は約3000円。焼肉ライクでは食事としての利用をメインにし、最も安い「バラカルビセット」100グラムを580円(税込み)と、牛丼チェーンの定食メニュー並みの価格に設定した。

 しかし、1人焼肉はまだまだハードルが高い。その理由は意外にも店側の構造にあった。ロースターは4人用設計。ハレの日に大勢でワイワイ食べるイメージがあるため、「1人では食べていると変な目で見られる気がする」というのだ。

 そのため、1人用のロースター、注文はタッチパネルを導入。客同士の目線が合わない間仕切りを設定し、水やおしぼりは席に完備した。こうすれば、他の目線が気にならない。木目調で落ち着きのある店内で、お肉の単品は50グラムずつに設定し、ごはんは少なめの選択もできるなど、女性客に配慮する工夫を凝らした。

回転率向上へ「秘策」あれこれ

 「入店から食べ終わるまでの滞在時間は約25分と想定している」と、有村さん。ランチタイムは2回転する計算になる。回転率を上げるために取り組んだのは、オペレーションの効率化だ。冷麺やクッパなどの一品料理は置かず、肉単品かご飯やスープのついたセットのみで提供。これならカット済みの肉を盛り付けて提供するだけなので、注文から約3分で提供できる。

 驚くのは、焼き網の処理方法だ。食べ終わると網を外して汚れや焦げ付きを落とすのが一般的だが、「網の汚れを落とすのは大変なので時間がもったいない」(有村さん)ため、1回ごとの使い切りにした。これらの工夫から1日の回転数は18回転にも達した。

 緊急事態宣言、蔓延(まんえん)防止等重点措置とコロナ禍が一向に衰えない。「出来ないことを嘆いても仕方ない」と、仮説を立てて実験し、いけるとなったら、すぐに新たなことに着手する。2020年8月、ついに夜の営業が出来なくなったが、なんと「朝焼肉」を発表、新たな顧客が殺到した。

 「ライク、また楽しいことやってるよと。それが焼肉の力と信じている」と、有村さんは話す。(村上信夫)

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