【こんな時代のヒット力】味の素冷凍食品「ザ★Ⓡから揚げ」 こだわりCMで「シリーズ新商品」の印象鮮明

 あふれるジュワッとした肉汁。クセになるニンニクの香り。2020年9月発売、「ザ★Ⓡから揚げ」(味の素冷凍食品/東京都中央区)の圧倒的な外食店品質が大人気である。同社では具体的な数字を公表していないが、発売初月、冷凍から揚げ市場全体を約105%増加(前年比)させる存在感をみせている。

 チャーハン、シューマイに続く「ザ★ Ⓡ 」シリーズ第3弾として、から揚げに目を付けたのは発売の約1年半前。その後のコロナ禍など予想できなかった時だった。

 冷凍から揚げ市場は約660億円(19年度)と、15年度比で約133%の伸び。まだまだ拡大の余地があることに着目した。(※インテージSCI 2019年度、冷凍から揚げ購入率、味の素冷凍食品調べ)

 鶏のから揚げは、好きな料理のトップに挙げられ、年間約220億個を消費する国民食である。09年、大分・中津から揚げが注目されたことをきっかけにブームが起こり、現在は第2次ブームといわれる。

 「冷凍から揚げの用途としては弁当のおかずが主で、食卓での利用は3割に過ぎなかった」と、製品戦略部から揚げ担当、笹枝由紀子さんは言う。食卓に出すには、既存の冷凍から揚げの1個当たりの大きさが物足りないことが分かり、「食べ応えのあるサイズ、で家ではできない味つけ、食卓が華やかになる外食店品質を求めていることがわかった」という。

 求められたのは、食べ応えのある大きさ、家ではできない香り・味・風味。それを冷凍食品でどう実現するかが課題となった。

特製の仕込みだれにボリューム感も

 火入れの温度にこだわった秘伝にんにく油に、葱油、特級醤油を加えた極旨仕込みだれでじっくりと肉を漬け込むことで、家ではできない味が実現した。当社比で既存品の約1・3倍に当たる1個約45グラム、さらに1袋に6個入りと、外食店で出てくるボリューム感を再現した。

 発売前に緊急事態宣言が発出され、生産工場とも直接打ち合わせもできなかった。「間に合うか本当にヒヤヒヤした。しかし、同時に消費者は家で外食店の味を食べたいと思っている。それに応えたいと必死だった」と、笹枝さん。

 大ヒットの「ザ★ Ⓡ 」シリーズ第3弾として外すわけにはいかないという、プレッシャーは大きかった。ましてや消費者が冷凍食品に注目しているコロナ禍である。笹枝さんは、「できることは全部やろう」と決めた。

 パッケージは真ん中にシズル写真を置き、シリーズ初のデザインを採用した。「目に入りやすい位置に写真や文字を配置し、うまさを伝えた」と文字にも工夫した。

 「ザ★ Ⓡ 」シリーズの信頼度、人気、世界観は徹底的に利用した。シューマイのCMにから揚げのCMをぶら下げ、シリーズの新商品であることを印象づけた。

 「広告と売り場をつないで一貫させたことが成功だった」(笹枝さん)。消費者のニーズを探し出すという、コロナ禍前からの地道な作業。これが、一過性ではない、新たなファンをつかまえた。(村上信夫)

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