便利だけど…電動アシスト自転車、10年で事故倍増

スーパーの駐車場に並ぶ電動アシスト自転車

 新型コロナウイルス禍で自転車ブームが続く中、電動アシスト自転車が絡む事故が過去10年で倍増している。便利な生活の足として、通勤・通学や買い物以外にまで活用の幅が広がる一方で、一般的な自転車より車体が重いことなどで、重大な事故になってしまうケースも目立つ。事故の増加は、コロナの感染拡大を受けて逼迫(ひっぱく)する医療に負担をかける可能性もあり、業界団体も異例の注意喚起に乗り出している。

通勤や宅配に…

 東京都品川区内の交差点で今年7月、横断中の電動アシスト自転車がタクシーにはねられ、自転車を運転していた男性が死亡する事故があった。警視庁によると、自転車が赤信号を無視して交差点に進入したとみられる。自転車のそばには食事宅配サービス「ウーバーイーツ」の配達用バッグが落ちていたという。

 交通事故総合分析センターによると、電動アシスト自転車が絡む事故は令和2年に2642件発生し、平成22年の1163件から2・2倍に増加。自転車事故全体はこの10年間で半数以下になっており、電動アシスト自転車の事故が占める割合は0・8%から4%へと5倍に膨らんでいる。

 自転車協会は8月11日、ホームページ上に「自転車事故によるけがで、逼迫する医療機関に負担をかけないように」という趣旨の文書を掲載した。感染「第3波」だった1月に続く異例の呼びかけで、「近年の自転車ブームに加えてコロナ禍による自転車利用者の急増で、残念ながら事故も増加している」と強調した。

 電動アシスト自転車の事故増加の背景には、街中での利用の広がりがある。

 昨年の販売台数は約74万台で、一般的な自転車の約55万台を大きく上回る。通勤・通学や買い物、子供の送り迎えに加え、食事宅配サービスや宅配便、レンタサイクルなど用途は多岐にわたる。自動車免許を返納した高齢者が利用するケースも増えているという。

総重量100キロ超も

 電動アシスト自転車は、こぎ始めに加速を得られる一方、ペダルの踏み加減を誤ると、急発進やバランスを崩すなどして転倒する危険性がある。一般的な自転車より車体が重く、2人乗り用では約30キロに上る。親子で乗ると総重量が100キロを超えることもあり、歩行者とぶつかれば、重大事故につながりかねない。

 令和2年11月に神奈川県鎌倉市で、女性の運転する電動アシスト自転車が歩行者にぶつかり、約7カ月の重傷を負わせた事故が発生。女性が後ろに乗せた息子に気を取られて、直前でブレーキをかけたが間に合わなかったという。女性は重過失傷害罪に問われ、横浜地裁は今年7月、有罪判決を言い渡した。

 交通事故をめぐる訴訟に詳しい村岡つばさ弁護士は「歩行者と衝突した場合、車体の重い電動アシスト自転車は相手に大けがを負わせるリスクが高く、賠償責任も重くなる傾向にある」としている。

関連記事

  1. 【家電の世界】インテリアの一部に「ラグジュアリー冷蔵庫」

  2. 【データ×未来㊤】現実を超える仮想空間の「分身」 自分に代わり仕事、未来も予測

  3. 【地方移住ナビ】福井県 4回連続幸福度ナンバー1

  4. 【平賀充記の若者解体新書~キーワードで読み解くZ世代のトリセツ】③意識高い系コンプレックス

  5. 【地方移住ナビ】愛媛県南予地方 風情と郷愁 豊かな自然

  6. 【平賀充記の若者解体新書~キーワードで読み解くZ世代のトリセツ】④キャラ多面体

  7. 【マンション業界の秘密】恥ずかしい「マンション」という和製英語 英語では「大邸宅」

  8. 【家電の世界】土鍋だからできる「もっちり味」の最高傑作 タイガーIHジャー炊飯器

  9. 【家電の世界】移動先での空気質を高める シャープのプラズマクラスターイオン発生機「IG-NM1S」

logo logo

連載

PAGE TOP