自動精算機にもキャッシュレスの波…小銭を持たない人が増加

 キャッシュレス決済が浸透してきた。2019年秋から行われた政府のキャッシュレス推進キャンペーンが追い風になったうえ、QRコード決済の登場で、初期投資や手数料負担で導入を敬遠してきた中小小売店舗のキャッシュレス決済の対応が増えたためだ。今後は、キャッシュレス業界が開拓を目指すのは、病院や駐車場、コインランドリーなどの自動精算機の分野だ。新型コロナウイルスの感染拡大で、紙幣や小銭のやり取りを敬遠する動きが進んでおり、現金払いを好んできたシニア世代を含め、小銭を持ち歩く習慣がますます減りそうだ。

 キャッシュレス決済とひと口にいっても手段は多彩だ。クレジットカードのほか、原則として決済と同時に代金を銀行口座から引き落とすデビットカード、事前に一定額をチャージすることが多い電子マネー、QRコードやバーコードを利用するコード決済などだ。

 これまではインバウンド需要を期待して、欧米系のクレジットカード決済、中国などアジア系のQRコード決済の導入が急増した。コロナ禍で海外勢によるサービスが足踏みになっているが、それに代わって、日本勢のキャッシュレス事業者の動きが勢いを増している。インバウンドは止まった状態だが、大手の小売りチェーンでは、日本で普及した交通系電子マネーを含め、マルチで決済できる端末やシステムの導入が増えている。

コロナ禍が導入を加速

 キャッシュレス決済の導入を急ぐ背景には、レジでの行列や現金のやり取りなど「密」になりやすい場面での感染を防ぐため、接触機会を減らしたり、より素早く支払いができたりするようにするためだ。日本勢のキャッシュレス事業者を中心に、利用金額に応じてポイントが得られるお得感をアピールし、それを目当てにキャッシュレス決済を始める人が増えている。コロナ禍でネット通販が増加していることも、キャッシュレスを始める動機付けになっている。

 キャッシュレス決済を使う人が増えるに従って、小銭を持ち歩く習慣が減ってくる。そうなると困るのが、100円玉などコインでしか支払えない自動精算機だ。コイン支払いの駐車場の自動精算機では、持ち合わせの小銭がない場合、とても面倒なことになる。

 両替機が設置されていればまだいいが、ない場合は、飲料の自動販売機を探す。運よく見つかっても小銭を得るために欲しくもない飲料を買わなければならない。同じ目的で飲料を買う人が多く、運が悪いと、釣銭切れになっている場合もある。飲料の販売機も、Suicaなどの電子マネーを使える機種が増えているので、小銭を使った精算が減っているからだ。

 その場合、他の販売機を探したり、コンビニまで歩かなければならない。最近は小売店でもキャッシュレス決済を導入していて、釣銭を多く持っていない店が多く、「両替お断り」の店も少なくない。すると、欲しくもない少額商品を買って、小銭をゲットしなければならない。運悪く、小売店が付近にない場合はお手上げだ。こうしたトラブルは、駐車場だけでなく、コイン洗車場や、コインランドリーなどでも遭遇するリスクは高い。

 こうしたトラブルの解消を新たなビジネスチャンスとして捉え、キャッシュレス業界がすでに動き始めている。コロナ禍で非対面型の決済が好まれる傾向が強まっていることを受けて自動精算機を新たに導入したり、コイン支払いをキャッシュレス対応にバージョンアップする施設が増えている。決済プラットフォームや端末を展開するキャッシュレス業界では、自動精算機を新たなターゲットとして、マーケティングを強化している。

駐車場、スーパー、カフェ、薬局も続々と

横浜市内の複合施設。クレジットカードはもちろん、ほとんどの電子マネーに対応している

 大手の駐車場運営会社では、自動精算機のクレジットカードでの支払い機能を搭載している機種が増えている。クレジットは磁気、IC接触、IC非接触などの種類が多いほか、セキュリティの要件も厳しいので、導入するにはコストがかさむため、小規模事業者には敬遠されがちだ。そのため、小規模事業者向けにはQRコード決済機能を搭載した自動精算機を提案している。屋外の駐車場向けには、防水や防塵機能を高めた機種のニーズが高い。

 キャッシュレス決済の導入は、人手不足対策や業務効率化への効果も期待されている。飲食店や小売店では、現金支払いが多いと、釣銭の勘定に手間とストレスがかかるうえ、レジ締めのために残業しなくてはならないからだ。自動精算機の場合は、現金回収の手間が削減されるほか、釣銭補充のメンテナンスの軽減、トラブルがあった場合にも自動で知らせる機能が付いている機種では、修理対応の迅速化も期待できる。

 コロナ禍では、消費者同様に、店のスタッフにとっても、非対面・非接触の会計が好まれている。このため、最近では、スーパーマーケットのセミセルフレジ、飲食店の自動券売機、ネットカフェの自動精算機のほか、カフェ、クリーニング店、薬局、サロンなどさまざまな業態でキャッシュレス決済の採用が増えているという。

 このほかにも、病院やクリニック、ホテルなどの宿泊施設やリラクゼーション施設など、シニア世代が良くいく場所でも、自動精算機やセルフチェックイン・チェックアウトシステムなどが増えており、キャッシュレス決済が利用できる場面がますます増えそうだ。

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