地域つなぐアプリ 回覧板や安否確認に自治会導入

アプリを導入したレイクガーデン自治会の竹内名保子会長(右)ら=大阪府貝塚市

 新型コロナウイルスの感染拡大は、地域コミュニティーのデジタル化にも影響を及ぼしている。大阪府貝塚市の自治会では今月から、回覧板や災害時の安否確認といった機能を取り入れたスマートフォンなど向けのアプリの本格運用を開始。情報をリアルタイムに伝達したり、近所に助けを求めたりすることも可能とされる。全国の自治会や町内会の多くは、役員の高齢化やなり手不足に直面しており、コロナを機に地域連携の希薄化を防ぐ取り組みが始まっている。

 「総会のお知らせ」「小学校の卒業式について」

 貝塚市の名刹(めいさつ)、水間(みずま)寺にほど近い住宅地の所有者らで構成する「レイクガーデン自治会」(79世帯)が今年初めに試験導入したアプリ「結(ゆい)ネット」。石川県のソフト開発会社「CPU(シーピーユー)」が開発した。

 自治会活動や地域行事といった情報はリアルタイムで手元に通知される。アプリ上で内容変更や出欠も確認できるため、回覧板などに頼っていた情報の伝達力は格段に向上。役員の負担減にもつながることから4月から本格運用を始め、市の助成金や自治会費を運用経費に充てる。

 コロナ禍の影響で、多くの人の手に触れる紙の回覧板や配布物に抵抗感を示す住民も少なくなかったこともあり、自治会長の竹内名保子さん(37)は「こうしたツールで自治会活動を効率的に、さらに充実させていければ」と話す。

■役員のなり手不足

 「いまは100%の自治会加入率だがこの先は分からない。早いうちに何とかしなければと考えていた」

 レイクガーデン自治会顧問の富永卓さん(58)は、若返りした自治会長を全力でサポートするとともに、住民の高齢化や役員のなり手不足といった問題に危機感を覚え、アプリの導入を強く進めた。

 こうした危機感は全国規模の課題だ。全国815市区を対象にした全国市議会議長会の調査によると、自治会の加入率は平均73・1%。8割以上の市区が「役員の高齢化や固定化」「役員のなり手不足」を自治会の重要課題と捉えており、コロナ禍も相まって同会は「活動が縮小したり存続困難な状況に直面したりする団体は少なくない」と指摘する。

 今年2月には政府や国会に対し、財政面での措置や自治会の運営を担う人材の発掘や育成といった要望・提言を出し、支援の充実を強く求めている。

■命守るツールに

 アプリの導入は、いざというときに人命を守ることにもつながる。

 結ネットは、地震などの発生時には「災害モード」に切り替わり、自治会加入者の安否や避難情報などを知らせる機能を実装。アプリを通じて助けを求めた人のもとに役員らが駆けつけることもできる。導入を支援する団体「Shien(シエン)」(同府岸和田市)によると、アプリを取り入れる自治会は石川県や府内などで徐々に増えつつある。

 会長の竹内さんは「コロナ禍で直接顔を合わせる機会は減っているが、アプリを活用し、地域で助け合う『共助』の強化につなげていければ」と話している。

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