【マンション業界の秘密】マンション市場、2013年以来の金融緩和で局地的バブル状態

不安感が広がりだした不動産市場

都心エリアは新築も中古も値上がり傾向

 そろそろ「コロナ後」を想定し始めるときかもしれない。

 私のテリトリーである首都圏のマンション市場は、コロナによって大きな変化が生まれた。それは「コロナ特需」と呼んでもいいものだった。

 テレワークの普及によって生まれた「広さと部屋数」への需要である。例えば、学齢期以下の子供を育てている家庭では、在宅勤務を行うための独立スペースが必要とされた。リビングで作業はできても、会議や打ち合わせがやりにくいからだ。

 これにより「もう1部屋、あるいは2部屋多い住まいへ引っ越さなければ」という住宅需要が起こった。

 さらに、1人10万円の給付金などのバラマキ政策が、日本社会全体をカネ余り状態に導く。

 こういった事象は当然、市場での価格変動に影響する。都心エリアのマンションは新築も中古も値上がり傾向にあり、それは今も続いている。

 では、「広さと部屋数」を求めて多くの若年層ファミリーが退去した後の賃貸住宅はどうなったのか。東日本不動産流通機構(レインズ)のレポートによると、首都圏の賃貸住宅の成約件数は、コロナ以前と比べて減少傾向がうかがえる。中古マンションの売買件数が異様に増えたことの反作用である。

 一方、賃料には有意な変化が見られない。コロナ禍といえども、全体的な個人所得水準に大きな変化が見られない以上、賃料も動かないのだろう。

郊外のファミリータイプは販売不振

 こういった動きは、コロナ後、どのように変化するのだろうか。

 すでに特需による中古マンションの成約増はピークを過ぎた。価格が上がり過ぎている都心の新築マンションは、一部の富裕層向け以外の物件は動きが鈍い。

 郊外で開発されている中堅所得者向けのファミリーマンションに至っては、販売不振が鮮明化している。

 コロナ後はテレワークから従来のオフィスワークへの回帰が見られるはずだが、テレワークを定着させる企業も少なくない。それは都心の賃貸オフィス需要の減退傾向にハッキリと表れている。

 岸田文雄首相は総裁選で「数十兆円規模の景気対策」に言明していた。だが、いまだ内容が判然としない。昨年のようなバラマキ的なものでなければ、マンション市場への影響は限定的だろう。

「コロナ特需」の背後に透けるチャイナリスク

 心配なのは、中国の不動産バブル崩壊である。これが日本の不動産市場にも心理的な影響以上のものをもたらすかもしれない。

 マンション市場は基本的に景気と連動している。日本の景気が今のような微温状態だと、マンション市場が大きく崩れることはないが、懸念されるチャイナリスクが世界金融にさらに不安をもたらせば、どうなるかは分からない。

 なぜなら、日本のマンション市場は2013年以来の金融緩和で局地的にバブル状態にあるからだ。


 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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