【マンション業界の秘密】10坪前後で駅から10分離れると資産評価ゼロ…「負」動産!?

ブランド力と魅力さえあれば商店街も十分、生き残れるが…

空き家は2023年以降に深刻化か

 私は東京23区と川崎市で発売される新築マンションの現地をくまなく見て回っている。そこで感じるのは、東京圏の空き家問題が深刻化するのはまだまだこれからだろう、ということだ。

 私が見る限り、空き家となった後に問題化するのは、その昔は個人商店として営業していたような家屋だ。コンビニやスーパーがそれほど多くなかった時代、野菜や果物は八百屋、肉は肉屋、魚は生魚店、菓子は菓子屋、酒は酒屋、米は米屋、文具は文房具屋、そして洗剤や歯ブラシは日用品店が取り扱っていた。

 そういった個人商店は急速に淘汰され、今ではほとんど残っていない。シャッターが閉められた旧店舗の家屋としては存在している。

 地上げされてマンションに生まれ変わるケースもある。むしろ、それなら幸運と言える。なぜなら、いくばくかにでも資産価値が評価されたわけだから。

 そういった旧個人商店の家屋は、敷地の広さが10坪前後であることが多い。その広さだと、駅から10分も離れると不動産としての資産評価はゼロに近くなる。売りだしたところで、買い手は現れない。言ってみれば「負」動産だ。

 そういう旧商店の家屋にでも、人が住んでいる場合は多い。たいていが元の店主である。彼らは一様に高齢化している。店じまいをしてから20年以上が経過している場合がほとんどなので、住み続けている人も、それなりに高齢化している。

空き家問題の正体=後期高齢者の増加

 団塊の世代の中心は1948年生まれである。彼らが後期高齢者(75歳以上)に達するのが今から2年後の2023年だ。

 そこから考えると、旧店舗であった家屋が空き家化する数が、23年以降、激増すると予測できる。

 家屋というのは、人が住まなくなると傷むのが早い。築50年を過ぎたような物件は倒壊の危険が増す。付近で火災が発生した場合には延焼もしやすい。

 空き家問題は08年の調査において13%を超えたことで、にわかに注目されるところとなった。その後2回の調査で伸びが鈍ったようにも思えるが、それは東日本大震災などの自然災害で多くの家屋が失われたことが影響していると思われる。東京とその周辺の街並みを観察している実感として、空き家は確実に増加している。

 くしくも23年には総務省による5年に一度の統計調査が行われ、翌年には空き家率が発表される。そのとき、空き家率は確実に上昇しているだろう。

 東京を始め、大都市圏で急増する旧店舗の空き家をどのようにすればよいのか。今のところ抜本的な解決法はない。

 現状ではそれぞれの相続者が何とかするしかない。ただ、それでは根本的な解決には程遠い。人のいない家は無秩序に増えるだけである。

 考え得ることは、法制度を変更して行政が介入できるようにすることだ。そういった試みは一部で始まっているが、十分とは言えない。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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