【マンション業界の秘密】曲がり角のタワマン、ブーム終わる!? 超高層住宅に抱く“幻想”

摩天楼に住む-。将来、ステータスではなくなる可能性がある

 先日、某週刊誌が東京都心に立地するタワーマンションが、欠陥住宅であるという記事を掲載した。その物件は都心の人気エリアに立地。業界のトップ企業が分譲し、2年前に建物が完成して入居もおおむね終わっていた。記事の内容からすると、相当な規模の補修工事が必要になりそうだ。

 売主企業は買い戻しや補修工事中の仮住まい費用の負担など、補償内容を区分所有者に提示しているようだが、今後の行方が注目される。

 2019年の10月に台風19号が日本を襲い、川崎市の武蔵小杉に立地するタワマンで内水氾濫が発生。エレベーターやトイレが何日も使用不能になったことがある。

完成途上の住形態

 一般に高さが20階以上の集合住宅をタワマンと呼ぶ。戸数は数百戸規模が当たり前だ。中には1棟で1000戸を超える物件もある。

 建設には最新鋭の建築技術と工法が採用されている。現代社会の先端技術を象徴するこの建物で、大掛かりな補修工事を行う必要のある施工不良が発生したり、水害で一時的にでも居住不能になるような被害に遭うという現象は多くの人にとって意外だろう。

 実は、多くの人はこの超高層住宅に幻想を抱いている。

 19年に刊行した拙著「限界のタワーマンション」(集英社新書)で詳しく論じたが、タワマンとは完成途上の住形態。大いなる実証実験中なのである。

 すでに解決が難しい多くの問題が見つかっている。タワマンの建物としての中長期的な継続性はかなり脆弱である。

ソフト面での疑問点も…

 ハード面の弱点に加え、最近ではソフト面での疑問点も注目されだした。

 そもそも、あのように地上から高く離れた場所に人は住むべきなのか、という基本的な疑問もある。欧州の主要都市には、日本のタワマン的な集合住宅は少ない。欧米では本能的に高層階での子育てを嫌う傾向がはっきりしている。

 米国でも、超高層の住宅は仕方なく都心に居住する場合の必要悪的に捉えられる傾向が強い。個人的見解ではあるが、ニューヨークのトランプタワーに好んで住む人が、知識層の尊敬を集めているとは思えない。

 日本では19年に放映されたTVドラマ「砂の塔」で、タワマン住民のいびつな階層ヒエラルキーが話題を呼んだ。高い階数の住人が低層階居住者をマウントするという情景だ。

 18年に大阪府下の警察署の留置場から逃走した犯人は「お金を稼いだらタワマンに住みたい」などと話していたと報じられた。先ごろ紀州のドン・ファン事件で逮捕された元妻である容疑者は、都心のタワマンに住みながらホストクラブに通っていたという。

 日本のこのブームは00年頃から顕著になった。その後は東京や大阪の都心エリアに林立していく。しかし、そろそろブームに陰りが出てもおかしくない。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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