【マンション業界の秘密】東京で活発化する外国人の不動産買いの背景

外国人の不動産買いが活発化しているという

 不動産業界の複数の人々から聞いた話だが、外国人が盛んに東京の不動産を買っているらしい。

 少し前に名の知れた大企業の本社ビルが海外のファンド系企業に売却された、というニュースが世間を騒がせた。ああいった売買は価格が100や1000の億単位。それこそ1年に何度もない取引だ。

 しかし、10億円単位の不動産取引なら業界内では日常茶飯事。そういった取引のプレーヤーに海外勢が混じるケースが増えているという。

 東京の不動産市場はまだら模様だ。飲食系のビルは売り出されても買い手が付きにくい。だから価格も下がっている。中小のオフィスビルも、コロナ前よりかは価格が軟調。投資家側からすると買いやすくなっている。

 ところが、区分所有単位のマンションは堅調。一部では値上がり傾向さえ見られる。コロナによって自宅でのテレワークを強いられた人々が、よりよい環境を求めて住み替えている需要が中心だと思われる。

 マンション業界の仕入れ担当者によると、事業用地の価格はなお値上がり中だという。しかし、市場に出てくる物件は目に見えて減少している。用地取得にかかった費用を反映した高価格で売り出しても、販売が進みにくいので躊躇(ちゅうちょ)しているのだろう。

コロナ後の日本人の働き方も保守的?

 世の中はソロリとコロナ後をにらんで動き出している。日本人の働き方へのスタンスは保守的なので、コロナ禍が終われば多くの企業では以前のようにオフィスに出勤するスタイルに戻る、と読んでいるのが海外の投資家たち。彼らが買いやすくなった東京のオフィスビルをあさっている。

 だが、コロナは日本社会にもそれなりに変化をもたらした。

 私の周りを見渡すと、業績が好調な企業ほどテレワーク化が進んでいる。そういった企業はオフィス面積の縮小も可能なので、コスト削減が容易だ。競争力も高まる。

大型オフィス誕生、マンション特需一巡でどうなる

 海外から見れば、日本の働き方改革はコロナ禍によってもあまり進まないように見えるかもしれないが、それは一面の真実でしかない。都心で働く人の1割が恒常的にテレワークに移行するだけで、相当なオフィス面積が余剰となる。

 さらに2023年頃までは、コロナ以前に計画された大型のオフィスビルが都心エリアに続々誕生する。現在、Aクラスのオフィスビルの賃料は明解に下落。コロナ後もその流れは大きく変わらないだろう。

 テレワークでの住環境見直しによるマンション特需も、間もなく一巡するはずだ。となれば、都心エリアのマンション価格の高騰も止まる。

 コロナ禍は不動産市場にイレギュラーな変化をもたらした。日本をはじめ主要国で行われたマネーを過剰供給する景気対策は、世界中で不動産価格を高騰させている。

 時間を経るにしたがって、結局は本来の需要と供給の関係に収斂していくと考えるべきだろう。海外マネーは逃げ足が速い。その動きを見誤ると、思わぬやけどにつながる。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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