【マンション業界の秘密】大手施工の欠陥住宅が相次ぎ発覚…大規模な修繕避けられず 購入者の肉体的、精神的負担も

マイホームは一生に一度の大きな買い物。それが欠陥住宅だと泣くに泣けない(写真は本文とは関係ありません)

 このところ大手企業が開発したマンションの施工不良や設計ミスが相次いでいる。分かっているだけでも3件を数える。

 まず東京都心で約2年前に竣工した300戸規模のタワーマンション(タワマン)。ここで施工不備が判明した。

 売主の不動産会社が購入者側に謝罪し、居住者には一時的な転居を求めての補修や改善の工事を行うことになった。

 工事の内容を見ると、「界壁のボードならびに二重床や二重天井の撤去と再施工」という表現もあることから、かなり大がかりなものになりそうだ。

 施工したゼネコンは補修費用として90億円の特別損失を計上すると発表している。

 供給サイドは、購入者への補償も行い、工事中の仮住まいの費用の負担、慰謝料の支払い、希望者には当初販売価格のプラス1割での買い取りもするそうだ。

 しかし、今まで約2年の間、施工不備のマンションで隣戸や上下階から漏れてくる生活音に悩まされた揚げ句、短くない期間の仮住まいを強いられる肉体的、精神的な負担は相当なものだろう。

建築確認が突然の取り消しに

 2件目も都心で、こちらは閑静な住宅地。近くに大きな公園もあり、山手線内としては、かなり優れた住環境である。

 規模は数十戸レベルでやや小ぶり。地下1階地上5階建ての落ち着いた建物構造となるはずだった。

 売主は業界のリーダー的な存在として知られている不動産会社。このマンションは来年春の建物完成を目指して建設工事が進んでいた。今年に入ってからは本格的な販売が始まり、すでに全戸数の3分の1程度の購入契約が成立したとみられていた。

 ところが、2月中旬になって販売を突然中止。地域を管轄する建築審査会から建物の建築確認が取り消されたのだ。

 建築確認は指定の審査機関が「建築基準法等の規制に即している」ことを公式に認定するもの。これを取り消されると建物を建てられなくなる。

 建設が進んでいる工事で、その確認が取り消されることはめったにない。審査会が公開した情報から類推すると、一部の共用廊下が規定の幅を満たしていなかったとみられ、これが取り消しの理由のようだ。

 このマンションの今後はどうなるのかまだ分からない。しかし、1年後から始まる新居での生活を楽しみにしていた購入契約者のショックは想像に難くない。

 3件目は武蔵野エリアで1年前に完成したタワマン。売主は大手企業数社のJVだ。

 上階からの騒音と振動が激しいので外部の調査会社に検査を依頼したところ、二重床を支える支持脚の一部に振動を緩和するゴムが使われていないことが分かった。これもそれ相応の大規模な修繕は避けられないだろう。

 大手企業でも、時に大きなミスを起こす。それにあたった購入者は不運としか言いようがない。もっとも、大手の場合、資本的に体力があるため、それ相応の対応は受けられる。これが中小なら、最悪、泣き寝入りにさえなりかねない。ここが唯一の救いではあるが…。


 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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