【マンション業界の秘密】売却成功のコツは「立地を考慮した仲介業者選び」

都心なら買い手は付きやすいが、郊外の物件を売るには知恵も必要

 マンションの売買について、一般の方々からさまざまな相談を受けている。適正価格で買うのは比較的容易だが、市場相場で売却するのはやや難しい。特に都心から離れれば離れるほど難しさが増す。

都心と郊外で大きな格差

 最近相談を持ち込まれた2つのケースをご紹介したい。

 まず最初は比較的容易な都心の物件。山手線の外側だが、誰もが都心と認める立地で、新築マンションが販売されれば、多少高くても完売できるエリアだ。

 築10年ほどで、売主さんの相談は、仲介業者に囲い込まれないか、というものだった。

 囲い込みというのは、売却を依頼された物件を仲介業者が自社で囲い込み、他の業者が買い手を探してきても売らない行為。自社で買い手を見つけて、売りと買いの双方から手数料を得ることを狙っている。

 囲い込みは基本的に違法だが、名の知れた業者でも堂々とやっている。むしろ、一般的に知られた有名仲介業者ほど自社で買い手を見つけやすいので、会社ぐるみで行いやすく、実際にそのようなケースもある。

 囲い込みを避けるには、売り手側が「専任」で1社だけに仲介依頼するのではなく、同時並行で数社に依頼するやり方がある。「一般」という方法だ。その代わりと言ってはなんだが、仲介業者は熱心に売らないことが多い。

 この売主さんの物件は、依頼すれば、自然に買い手が付きそうな条件だった。私は「一般」で数社に依頼することを勧めた。

 で、結果的に、1週間で売れたという。買い手が多く現れそうな物件なら「一般」で大丈夫だ。

 2件目は、住みやすさや都心への便利なアクセスで人気のエリア。通学区の小中学校が地元では名門とされる立地だった。ただ、築年数は12年で、都内ではなく近県。完全な郊外である。

 その売主さんは、「割安手数料」を看板にしている都心の業者1社に「専任」で売却を依頼。3カ月の間に8組の見学者がやってきたが、売買は成立しなかった。それで売主さんも焦りだし、私のところに相談に来た。

 私の助言はこうだった。

 「地元の元気そうで、なおかつ大手でない仲介業者を見つけて、その1社に『専任』でお願いするのがいいでしょう」

 大手なら郊外でも囲い込みをする。だから時間がかかる可能性がある。地元の業者は地域での信用を大事にするので、なるべく早く売買を成立させて売主を喜ばせたいと考える。それが評判につながれば、地元でビジネスがしやすくなる。

 最初のひと月くらいは囲い込みをするかもしれないが、それで買い手を見つけられなければ諦める。他の業者が買い手を見つけることも歓迎するようになる。

 地元の元気な業者であればフットワークもいい。見込みが薄そうな客でもどんどん物件を案内する。

 物件から“遠い”業者だと、見込みのある客を絞り込んで案内しようとする。それでうまく買い手を見つけられればいいが、買ったかもしれない客を逃しているかもしれない。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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