【マンション業界の秘密】ありえる「中国発」日本の不動産バブル崩壊

高くなりすぎれば、いずれは下がる。商品とはそういうものだ

北京や上海の一等地マンションは利回り1%、それ未満も

 不動産業界の人と話す機会は多い。彼らはなぜか私のことを「未来が見える」と思っている。

 よく聞かれるのは「このバブル、いつ終わるのですか」ということ。

 この手の質問には、もう1000回くらいは答えたかもしれない。結論を言えば、「分かりません」となる。しかし、確実なのは「そのうち必ず終わります」ということだ。

 先日、同年代の不動産業者たちと歓談した。われわれの世代はあの平成バブルを経験した最後の世代。20代半ばから後半がバブルの最盛期だった。

 同じ質問でも、あの平成バブルを知っている方々には説得力のある説明ができる。

 今回のバブルが終わるとすれば、それは中国発になりそうだ。こんな風に言う。「現在、北京や上海の一等地のマンション価格は利回りが1%か、それ未満になっています。あり得ない水準でしょ。すでに中国で最大手の不動産デベロッパーのデフォルト(債務不履行)が迫ってきています。その会社の負債額は日本円で9兆円規模らしいですよ」

 中国では土地がすべて公有。マンションの場合、日本で言えば、最長70年の定期借地のような権利形態で売買されている。それで賃貸運用の利回りが1%ということは、普通に考えてあり得ない。完全なバブルである。

 そういうことを説明すると、同年代の業者さんの一人が若い頃の経験談を話してくれた。彼は20代の頃に当時イケイケの株式公開企業に勤めていた。ビルやマンションを1棟ごと売買するような会社だった。

 ある時、エイヤーの勢いで購入したビルの賃貸利回りを計算すると2%だったという。それで上司に「利回りは2%になります」と報告したら、驚かれたという。

 「2%もあるのか。それはいい買い物をした。すぐに1・5%にして売れ」

 バブルとはそういう時代だった。彼のいた会社も、取引先のほとんども、その後数年の間にキレイに業界から消えたという。

 北京や上海の不動産価格は異様である。ついでに言えば香港や台北も、私に言わせれば普通ではない。

都心の利回りはまだ3%台だが…

 ところが、意外なことに東京はまだ「普通」なのだ。都心のビルは今のところ3%台。ちょっと郊外に行けば5%もある。

 だから東京の不動産価格が盤石かというと、そうでもない。中国で不動産バブルが弾けて、その不安感が伝播してくれば、今の東京の安寧感も一気に崩壊する。

 そもそも不動産は金融商品ではない。本来の価値以上に値上がりしている部分はバブルである。

 本来の価値とは、その不動産を利用することによって得られる経済利益に見合っているかどうかで決まる。最も分かりやすいのは賃料収入だ。

 それが今の東京都心では3%台。災害や事件・事故などさまざまなリスクがある不動産の運用利回りが3%というのは、やはり低すぎる。いつかは是正されるだろう。

 前回は米国発のリーマン・ショックだった。今回は中国発での清算ということになるかもしれない。


 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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