【マンション業界の秘密】異様だった都心の湾岸中古需要…コロナ特需が終わった後は長い停滞期か

不安が尽きないのはマンション市場だけではないが…

需要の先食いだった可能性も

 都心のマンション市場はここ1年ほど「コロナ特需」と呼んでいいほど、よく売れた。特に湾岸の中古タワーマンションへの需要は、ちょっと異様なほどだった。価格もそれなりに上昇した。

 新型コロナの感染拡大によってテレワークが常態化。多くのサラリーマンが在宅勤務用の「広さと部屋数」を求めて、すぐにでも引っ越しできる中古タワマンの購入に走ったのだ。

 しかし、その動きもどうやら一巡した気配がうかがえる。買うべき人は、ひと通り買ってしまったのではないか。最近、中古市場の動きが鈍っている。

 コロナによって旅行や外食などが制限され、余暇をもてあました富裕層による都心の超高額なマンションあさり…とも言うべき億ション需要も、一服したような感じだ。何よりも、価格が上がり過ぎている。場所によっては、あの平成バブル期の価格水準を上回ってきた。さすがに異常である。

 そもそもマンション市場におけるコロナ特需とも言うべき動きは、需要の先食いであった可能性が高い。「2、3年以内に買おう」と考えていた人々が、テレワークが始まったことによって「それなら今すぐ」と住宅購入に走ったのだ。

長野五輪と「同じ轍」踏むのか

 危惧されていた東京五輪は、ほぼ無事に閉幕した。マンション市場は「五輪後」の展開を目指すが、コロナがいつ収束するのか見通せないのが厄介だ。

 ワクチン接種が進んだとしても、日本社会はもはやコロナ前と、同じような状態には戻らないと考えるべきだろう。リモート化が進んだ業務スタイルなどは、コロナ後も続けられるとみていい。その方が無用なリスクを避けられ、勤務という形態においても合理的であることに多くの人が気づいてしまった。

 振り返れば、日本での五輪開催は1998年の長野(冬季)以来だった。あの時、五輪関係施設付近の不動産が値上がりすると期待されたが、閉幕後、結果は伴わなかった。

 今回、「湾岸五輪」とも呼ばれるように、大会関係施設は東京の湾岸埋め立てエリアに集中した。五輪が開催できたことで、湾岸エリアのマンション重要が盛り上がるかというと、長野が物語るように期待はできない。

 今、東京の街に漂っているのは五輪開催に伴う高揚感ではなく、無事に終わった安堵感。さらに言えば、いつ終わるとも知れないコロナとの戦いに対する疲労感である。

 コロナ特需が一巡した東京のマンション市場は、次の需要盛り上がりまでの端境期に入る。この期間はちょっと長くなりそうな予感がする。


 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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