【マンション業界の秘密】郊外の大規模新築は死屍累々…年度末に向け「大バーゲン」の可能性

果たして売り切れるか。郊外になればなるほど厳しい(写真と本文は関係ありません)

ひと月に2戸しか売れない物件も

 私は首都圏、近畿圏で販売されている新築の大規模マンション(200戸以上)について、物件ごとの資産価値を分析するレポートを作成し、有料で頒布している。

 その更新作業では、対象となる全物件のオフィシャルページを3カ月に一度はのぞいている。必ず見るのは「販売概要」。3カ月前と比べて、販売戸数や販売の期分け表示がどう変化したのかをチェックする。

 販売が進んでいると、戸数表示が減っている。「第〇期〇次」や「先着順」といった期分け表示に変化が見られず、さらに販売戸数も大して減っていない場合は、停滞していることがうかがえる。

 こういった視点で見ると、新築マンションの販売状況はおよそ検討が付く。恐ろしいことに、首都圏や近畿圏の郊外型大規模マンション市場は、死屍累々と表現できる状況だ。

 3カ月間で10戸の契約ができていれば、マシな部類に入るだろう。3戸や5戸しか売れてなさそうな物件が珍しくない。ひと月当たり2戸の契約さえ取れないのだ。

 例えば、総戸数が500戸でまだ売れていない住戸が200戸の物件だと、後100カ月かけないと完売しないペースだ。

 そんな中で、少数のデベロッパーの物件のみは販売が進み、「全戸完売」になっている。その内の1社は、業界関係者の間では「大胆な値引き」を行うことで知られている。

 郊外の新築マンションがこれほどまでに販売不振に陥ったのは、私が記憶する限りリーマン・ショック直後の2009年以来、12年ぶりである。

 あの時はデベロッパーがバタバタと倒産した。潰れたのは、上場企業ながらどこの企業系列にも属さない独立系で、カタカナネームの会社が多かった。

「値引き=お買い得」ではない、即決は禁物

 今の供給側プレーヤーは、ほとんどが大手企業グループの系列会社である。だから、倒産することは考えにくい。せいぜい事業縮小だろう。

 ただし、その前に販売中の物件を完売させなければならない。物件によって、後100カ月も販売を続けるなどということは不可能である。

 ではどうするか。答えはいつもながらに同じ。値引き販売である。

 この先、来年3月末の年度末に向けて、首都圏でも近畿圏でも郊外では値引きの大バーゲンセールが行われる可能性が高まっている。

 郊外でのマンション購入を考えている人々にとっては、そういった意味でチャンス到来である。焦った売主から、販売価格の1割はもちろん、2割程度の値引きを引き出せる物件も出てくるのではないか。

 ただし、値引きを引き出せたからといってお買い得とはかぎらない。そもそもの販売価格が高すぎる物件もある。値引き後の値段が、普通に考えての市場価格であるケースも珍しくない。値引きを提示されたからといって、舞い上がって即決などは避けるべきだ。


 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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