【薬漬けにならないための基礎知識】糖尿病は「減量」と「食事療法」が最も効果的

糖尿病は、食事・血圧などの生活管理が欠かせない

 コロナ禍で病院から遠ざかっていた患者さんに危機が迫っています。高齢者は「受診控え」から、1度に長期間の薬を処方され、そのリスクが懸念されます。とくに、糖尿病の患者さんは薬の服用に注意が必要です。

 じつは私も糖尿病患者の1人であり、薬は2007年から服用しています。私の場合、母が糖尿病で、両親の祖父はどちらも糖尿病関連で亡くなっています。2型糖尿病は、遺伝的因子と生活習慣などの環境因子の両方が影響しているとされ、私の場合、どちらの条件も満たしていました。

 それまでは、年に50回以上「しゃぶしゃぶ」を食べ、「中華料理」も「チャンコ」も思い切り、好きなだけ食べていました。だから、間違いなく糖尿病にはなると思っていたのです。

 案の定、「HbA1c」の数値も7・0台の後半になり、専門医にかかることになり、彼のアドバイスで、メトグルコとエクアというビグアナイド類と、DPP-4阻害剤を飲むことになりました。その後、エクアの代わりにグリミクロンというSU(スルホニル尿素)薬の第二世代を服用してから2回低血糖を起こしています。

 こうした経験から言うと、SU薬は飲み過ぎるとよくないということです。血糖値を下げることは重要ですが、下げ過ぎるのはいけません。低血糖になると、冷や汗をかいたり、目がかすんだりして集中力がなくなり、最後には言葉が出にくくなったり、ロレツがまわわらなくなったりします。意識を失い倒れる場合もあります。私の場合、足に力が入らず、歩けなくなりました。

低血糖対策にカバンにチョコレート

 高血糖では死にませんが、低血糖ではその可能性があります。植物状態になった例もあります。

 私はすでに74歳。昨年、HbA1cが8・5とか9・0になり、その後、持病である心疾患が再発し、10月に右冠動脈にステント挿入の手術を受けました。以来大反省して、白米は一切やめ、1日玄米50~60グラム、パスタやかた焼きそばなどの麺類は食べないことにしました。その結果、HbA1cは下がりました。

 主治医からはHbA1c7・0まで大丈夫と言われていますが、この食生活を維持するほかありません。

 ただ、主治医からやかましく言われるのは、ランタスXRというインスリンを4~8単位打っているので、とくに低血糖に注意してほしいということです。そのため、いつもカバンの中にチョコレートなど菓子類を入れています。低血糖になったとき即座に食べるためです。

 私には糖尿病以外に心疾患があり、これまで不安定狭心症から冠動脈バイパス手術を1回とステント挿入を2回受けています。このことも、血糖値と大いに関係があります。血管に影響するのは、血圧と血糖だからです。

 日本老年医学会などが発表した「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」では、とくに糖尿病薬の飲み過ぎが警告されています。よく使われるアベマイド、ジメリン、オイグルコンなどのSU薬について、使用過剰が懸念されています。SU薬は膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促し、血糖値をコントロールする薬です。しかし、腎機能が落ちた高齢者が服用すると、血糖値が下がり過ぎて低血糖になりやすいのです。

 糖尿病治療の基本は、特有の合併症と動脈硬化性の病気の発症や進展を阻止することで、健康人と変わらない生活を送ることにあります。私の経験では、薬に頼るより、減量や食事がもっとも効果がありました。食後2時間値が重要ですが、昨年からの食事療法が効いてきて、いまはHbA1cが5・8とか5・5になりました。


 ■富家孝(ふけ・たかし) 医師、ジャーナリスト。1972年東京慈恵会医科大学卒業。病院経営、日本女子体育大学助教授、新日本プロレスリングドクターなど経験。「不要なクスリ 無用な手術」(講談社)ほか著書計67冊。

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