【加藤梨里のお金と健康】新型コロナワクチン詐欺に要注意!

現在、全国的に新型コロナウイルスのワクチンの供給が不足しています。新たな接種予約を中止し、受付再開の見込みが立たない自治体も多いようです。そのような状況に乗じて、お金を払えばワクチンを優先的に接種できるなどと謳う「ワクチン詐欺」などのトラブルが発生しているようです。

「有料で優先接種」と誘導

 十分な予防効果を得るためには2回の接種が必要な新型コロナウイルス感染症のワクチン。各地では接種券の送付が進んでいるものの、供給不足によりこれから接種する人の予約・申込が非常に難しい状況になっています。これまでの摂取率は1回目が約31%、2回目まで完了した人は約20%(いずれも7月25日現在)で、希望する人すべてが接種完了できるまでにはまだ時間がかかりそうです。

政府CIOポータルの新型コロナダッシュボードより

 そんななか、「ワクチン接種ができる」といってお金をだまし取ろうとするなど、コロナワクチンに関連した詐欺が発生しています。消費者庁によると、全国の消費生活センターにはすでに今年の6月までで約2,000件の相談が寄せられているといいます。

 具体的な手口は、「10万円を払えば優先的にワクチンを接種できる」「払ったお金は接種後にキャッシュバックされる」「医療従事者向けのワクチンが余ったので、お金を払えば接種できる」などといって、お金を振り込むように、電話やメールで誘導するものが多いようです。

ワクチン詐欺への注意を呼び掛ける消費者庁などの文書

 しかし、新型コロナウイルスのワクチンの接種料は無料です(参考:【加藤梨里のお金と健康】コロナワクチン接種はなぜ無料なのか?⇒https://lifraplus.com/healthcare/money-health-free-vaccination)。医療機関でも、集団接種会場でも、ワクチン接種に個人がお金を請求されることはありません。一部、勤務先などが任意で実施する職域接種の場合には、会場の設営費や医師・看護師などの手配にかかるコストがかかりますが、これらは勤務先が負担するもので、従業員個人が直接にお金を払うことはありません。

■個人情報を聞き出す手口も

 金銭的な被害はなくとも、個人情報をだまし取る手口もあるようです。お金を取ろうとするケースでも、市区町村や省庁などの行政機関を名乗ることが多いようですが、これらの機関をかたって自宅に来たり、電話やメールで連絡をしてきて、「家族の人数を教えてほしい」「自宅は持ち家か、賃貸か」などと個人情報を聞き取ろうとする事例も報告されています。

 「ワクチン接種の予約代行をする」「ワクチン接種の説明をする」などと、接種できる期待の高まるような要件で連絡してくるため、相手を本物の行政機関の担当者だと思って質問に答えてしまったケースもあるそうです。

 ほかに、スマートフォンにワクチン接種の予約サイトへの誘導に見せかけた不審なメッセージが届いたり、偽物の可能性がある不審な予約サイトに誤って申し込んでしまい、個人情報を送信してしまった事例もあります。

SMSで届いた不審なメッセージ(画像処理しています)

■コロナの検査キットのトラブルも増加

 ワクチン以外に、新型コロナウイルスの検査キットや検査薬に関わるトラブルも増えています。検査キットは現在、一般向けにも広く販売されており、コロナの症状の有無や濃厚接触者かどうかにかかわらず、ドラッグストア、ディスカウントストアなどで3,000~5,000円程度で購入できます。インターネットで購入できるものもあります。 

 市販の検査キットは、自治体や医療機関が使用するものと違い、個人が民間の会社から任意で購入します。国が認めた医薬品ではなく、消費者庁は自己判断で感染の有無を調べる目的に使用しないように呼びかけています。なかにはキットに「厚生労働省承認済み」など、誤認を与えるような表示がされ、行政指導を受けた商品もあります。しかし、保健所の委託を受けたなどといって公的機関との関わりを示しながら検査薬を販売・勧誘する業者もいるようです。

 また、市販のキットは唾液を検体として採取し、業者に郵送すると後日に手紙やメールで検査結果を教えてもらえるしくみになっているものが多いのですが、結果が送られてこない、業者に返金を求めても連絡が付かないなどのトラブルが報告されています。

■おかしいと思ったら消費者ホットラインへ

 これらのワクチン詐欺やトラブルには、消費者向けの専用の電話窓口があります。国民生活センターの「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」では、通話料無料で相談することができます。

■「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」

0120-797-188

(相談受付時間:10時~16時(土・日・祝日を含む))

http://www.kokusen.go.jp/info/data/coronavirus_vshotline.html

また、最寄りの地域の消費生活センターにも相談できます。

■「消費者ホットライン」

局番なし188

 消費者庁・国民生活センターは、ワクチン接種に関する詐欺やトラブルは、年齢や居住地にかかわらず発生していると指摘しています。国や自治体がワクチンを口実に個人情報や金融機関の口座情報を聞くことはなく、お金の払込みを求めることもありません。公的機関を名乗る電話やメール、訪問であっても、おかしいと思ったらすぐに対応せずに、公式な電話番号やメールアドレスかどうかを確認するように注意喚起しています。

 ワクチンの供給不足により不安や焦りの気持ちが募っているとき、優先接種などといわれるとつい話に飛びつきたくなりそうです。不審な相手に、うっかり個人情報を伝えてしまうリスクもありそうです。日々の予防を続けながら、落ち着いて正しい情報を確認する意識も忘れないでいたいものです。万が一トラブルに見舞われたときには、早めに相談することも大切です。

※この記事は2021年7月19日時点の情報を元に執筆しています。今後、状況が変わることがあります。最新の情報は必ずお住まいの地域の窓口等にご確認ください。


■加藤梨里(かとう・りり)ファイナンシャルプランナー(CFP®)、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー、マネーステップオフィス株式会社代表。保険会社、信託銀行、ファイナンシャルプランナー会社を経て独立。専門は保険、ライフプラン、健康とお金。大学では健康増進について研究活動を行い、健康経営のコンサルティング支援をした企業が中小企業のトップ500「ブライト500」に認定。

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