【加藤梨里のお金と健康】今月からたばこ値上げ~たばこ税は毎年増税

この10月から、たばこが値上げされました。たばこ税の増税に伴うもので、紙巻きたばこは1箱10~40円高くなりました。たばこを吸っている人は、健康志向の高まりとともに近年は減少傾向にありますが、喫煙習慣のある人にとって家計への打撃になりそうです。

■1箱30円前後の値上げに

 値上げされたのは、紙巻きたばこや葉巻たばこ、そして加熱式たばこです。たばこ会社各社の合計で400以上の銘柄が対象になっています。値上げ幅は20本入りの1箱あたり10円から40円程度。1箱500円から520円へ、560円から600円へ、といった値上げが行われました。

 たばこの値上げは2018年以降相次いでいます。たとえば日本たばこ産業(JT)のメビウスを例に見ると、2018年9月まで1箱440円だった価格は2019年10月には490円、2020年10月には540円へ、そして今年の10月には580円へ上がっています。3年で140円の値上げは小さくないと感じます。

 家計への負担はどうでしょうか。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、喫煙する人が1日に吸う本数は平均15.5本。分布を見ると20本までという人が約9割を占めています。つまり1日に1箱が一般的ということですから、毎日1箱ずつ吸うとしたら、値上げによる負担増は1カ月あたり400円~1,200円程度と考えられます。1年間にすれば、銘柄によっては1万円以上の出費増になりますから、日常的にたばこを吸う人には痛い出費ではないでしょうか。

■価格の6割以上は税金が占めている

 値上げの理由はおもにたばこにかかる税の増税です。国のたばこ税は2018年以降3段階にわけて税率が引き上げられ、課税方式も見直されました。

 たばこ税による国の税収は令和3年度で年間約9,000億円、一般会計歳入の1%に満たない規模ですが、実はたばこにかかる税金はそれだけではありません。たばこには国のたばこ税のほか、たばこ特別税や地方たばこ税もかかります。いずれも商品価格に含まれる形で消費者が負担します。このため増税によって商品価格が高くなるわけです。加えて、消費税もかかります。ですから、たばこの価格の大部分は税金が占めていて、その割合は1箱580円の紙巻きたばこの場合、6割以上にもなります。1日1箱、1年間吸うとしたら、年間でたばこに払う金額は約21万円、そのうち約13万円が税金ということになります。

たばこの税負担内訳

※JTのホームページより

 たばこ税のように、モノを買うときに消費税とは別に個別の物品に対して税がかかるものには、ほかに自動車やお酒などもあります。このうちお酒はたばこと同様に、生活必需品とは異なる嗜好品であるとの位置づけから酒税がかかります。酒税はビールやウイスキーといったアルコール飲料の商品価格に含まれています。税率はアルコールの種類によって異なりますが、ビールは商品価格の4割ほど、ウイスキーは2割ほどが、酒税部分にあたるようです。

 こうしてみると、やはりたばこにかかる税は重いことがわかります。ただし酒税も昨年に見直されており、新ジャンルのビール系飲料や果実酒などは今後2023年、2026年にも増税が予定されています。たばこもお酒も、リフレッシュやストレス解消のために欠かせないという人が少なくありませんが、これからは税の負担があなどれなくなっていくかもしれません。

 また、たばこはがんなど病気のリスクを高めるものでもあります。健康面を考えても、量を減らしたり、禁煙に取り組むのもありかもしれません。上述の厚労省の調査によると、喫煙をやめたいという人は約26%。喫煙者の4人に1人は禁煙したいと思っているそうです。

 最近では健康増進法の改正により職場や公共施設などでの禁煙化が進み、加えてコロナ禍で感染防止の観点から喫煙所が少なくなってきています。たばこを吸える場所が減って困っているという声も聞きますが、禁煙に取り組むにはよい環境ともいえます。吸いたい気持ちをコントロールするのは一筋縄ではいかないものですが、もしも禁煙できたら年間20万円の節約にもなります。増税を機に、もう一度チャレンジしてみてもいいかもしれません。


■加藤梨里(かとう・りり)ファイナンシャルプランナー(CFP®)、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー、マネーステップオフィス株式会社代表。保険会社、信託銀行、ファイナンシャルプランナー会社を経て独立。専門は保険、ライフプラン、健康とお金。大学では健康増進について研究活動を行い、健康経営のコンサルティング支援をした企業が中小企業のトップ500「ブライト500」に認定。

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