【加藤梨里のお金と健康】新型コロナのPCR検査費用

 日本でもワクチン接種がようやく進み始めた新型コロナウイルス感染症。新規感染者は地域によっては減少傾向にあるものの、まだまだ予断を許さない状況です。その診断に用いられるのがPCR検査です。病院で受ける検査のほかにも、検査センターや検査キットなど、現在は気軽に受けられる選択肢が広がってきています。そこで、新型コロナの検査にかかる費用について解説します。

PCR検査センターに並ぶ大勢の人たち=東京都港区

■症状があるときのPCR検査代は自己負担ゼロ

 新型コロナウイルス感染症にかかったとき、入院基本料や検査料、投薬料などの診療費は自己負担がありません(★参考記事はこちら⇒前回「加藤梨里のお金と健康~コロナと医療費 いくらかかる?」)。本来、保険がきく治療の医療費は現役世代で3割負担になっていますが、新型コロナに関しては公費負担のため、自己負担がかからないのです。

 これは、PCR検査についても同じです。新型コロナの診断には、細胞内にウイルスが存在するかどうかを調べるPCR検査、抗原定量検査、抗原定性検査が用いられます。いずれかの検査で病原体が検出されると陽性と診断され、新型コロナの治療に対応した病床で治療を受けることになります。発熱や咳、喉の痛みなど、感染が疑われる症状があるときや、長時間・近距離にいた「濃厚接触者」に該当し、医師や保健所の指示で検査を受けるときには費用の自己負担はありません。

 もし、検査の結果が陰性でも、症状があって受けた検査には費用はかかりません。感染が疑われるケースへの検査は行政検査といって、費用は公費でまかなわれるためです。ただし、陰性であることを証明する「陰性証明書」が必要なときには、医療機関で発行手数料がかかります。1通あたり1,000円程度のところが一般的です。

抗体検査とPCR検査の違い(厚労省資料より作成)

■治療中のPCR検査代は自己負担ゼロ

 PCR検査や抗原検査によって陽性が判明した場合には、入院治療や自宅・宿泊施設での療養を行います。病院での治療後、退院する前には陰性を確認するために再度検査を受けますが、この検査代にも公費の補助があり、自己負担はかかりません。

 ホテルなどでの宿泊療養の場合には、「発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後72時間経過している」などの基準を満たしていれば療養を終えて帰宅できることになっており、PCR検査を行わないことが多いようです(2021年5月末現在)。ただ、実施する場合も検査代はかかりません。

 つまり、発熱や咳などの症状がある場合、あるいは症状がなくても濃厚接触者と判断されると、診断のための検査を受け、陽性ならば治療・療養の終了前にもう一度検査を受けることがありますが、いずれも行政のルールにもとづいて行われるため、自己負担がゼロになるしくみです。

■自己都合で受けるPCR検査代は2~4万円の自己負担

 これに対して、行政検査の対象でない検査は、全額が自己負担になります。仕事などで海外に行くため、渡航先の入国時に陰性証明を出さなければならない、大人数が集まるイベントを開催する、参加する、帰省のため感染拡大地域からそれ以外の地域へ移動するようなケースでは、無症状で濃厚接触者にもあたらないときにも、PCR検査を受けることがあります。

 これらのケースは自己都合で受けるため、公費の補助がありません。自分で民間の検査センターや医療機関に予約をして受診し、窓口で費用を払います(オンライン受付のところもあります)。ここでいう民間の検査センターは、地域の保健所が設置するPCR検査センターとは違います。検査の料金は各医療機関や検査センターが設定しており、1回あたり2~4万円程度が中心です。なかには、1回あたり2千円程度で受けられるところもあります。自宅で検体を採取して郵送し、判定してもらえる検査キットを販売している検査センターもあります。

郵送用の検査キットを販売している検査センターも多い

 ただし、自費の検査にはいろいろな種類があります。PCR検査には鼻咽頭か鼻腔から綿棒で検体を採取する方法と唾液を使う方法があります。また、結果判明までに2~4時間かかるPCR検査に比べて、30~40分で判定ができる抗原検査もあります。検査センターや医療機関によって、選べる検査の種類、検体採取の方法、PCR検査と抗原検査をセットで受けられるかどうか、診断書の発行手数料が含まれているかどうかなどに違いがあります。自費で検査を受けるときには、陰性証明の提出先に求められている検査や証明書の様式を確認して、自分のニーズに合ったものを選ぶことが大切です。

 加えて、発熱などの症状があるときや、万が一陽性と判定されたときの対応にも注意が必要です。症状があるときには自費の検査ではなく、かかりつけ医や地域を管轄する保健所に受診・相談をしてから行政検査を受けることになります。自費検査は受け付けしてもらえないことがありますので、予約前に受診先に確認してみましょう。

 また、自費検査の結果が陽性だったときには速やかに医療機関を受診することになります。医療機関内で自費検査をした場合には同じ医療機関で診察、治療を受けられることがありますが、検査センターの一部には検査のみを実施し、医師の診療をしていないところがあります。その場合にはセンターが提携する医療機関に行くか、自分のかかりつけ医を受診する、保健所に相談して受診先を決めることになります。受診先で再度検査を受けて、陽性と判定された場合は、以後の医療費は公費負担になります。

 新型コロナの感染拡大が長期化するにつれ、検査を受ける機会は身近になってきています。症状の有無など、状況によって検査を受診する流れや費用の負担が異なることや、判定が出た後のことを知っておくとスムーズです。

■加藤梨里(かとう・りり)ファイナンシャルプランナー(CFP®)、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー、マネーステップオフィス株式会社代表。保険会社、信託銀行、ファイナンシャルプランナー会社を経て独立。専門は保険、ライフプラン、健康とお金。大学では健康増進について研究活動を行い、健康経営のコンサルティング支援をした企業が中小企業のトップ500「ブライト500」に認定。

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