【加藤梨里のお金と健康】マイナンバーカードが保険証として使える!

病院や薬局の窓口で提示すると、医療費の自己負担が3割(現役世代の場合)になる健康保険証。カードや紙タイプで、勤務先やお住まいの自治体で発行してもらうものですが、これをマイナンバーカードで代用できるしくみが始まりました。10月から本格運用が開始し、来年には確定申告の医療費控除にも活用できるようになる見込みです。

■健康保険証がなくても受診可能に

 国民一人ひとりの個人番号(マイナンバー)が記載され、ICチップの入ったマイナンバーカードは、本人確認や行政手続きに利用することができます。その活用範囲は年々広がっており、今年には健康保険証として利用できるしくみが整備されました。

 通常、医療機関を受診したときや薬局で薬を処方してもらうときには、健康保険証を提示します。保険証を見せることで本人確認ができ、窓口で負担する医療費が3割(年齢や所得によっては1~2割)に軽減されます。これが今後、マイナンバーカードに対応した医療機関や薬局では、健康保険証に代えてマイナンバーカードを専用のカードリーダーにかざし、顔認証か暗証番号を入力することで受付ができるようになります。健康保険証がなくても、マイナンバーカードがあれば受診できるのです。

 マイナンバーカードは一度発行すれば、生涯にわたって使えるカードです。健康保険証は、転職をして勤務先が変わったときや、定年退職をして加入先の健康保険が自治体の国民健康保険に変わったときなどには、古いものは使えなくなり、新しい保険証に切替えが必要です。加入先の変更手続きは今後も必要ですが、マイナンバーカードは変更後も引き続き保険証として使い続けることができます。

■窓口での高額支払いや還付手続きが不要に

 もうひとつのメリットが、医療費の窓口負担です。健康保険には、1カ月あたりの自己負担額が所定額を超えたときに、超えた分が戻ってくる「高額療養費」という制度があります。通常は後日に手続きをしてから払い戻してもらうか、または事前に「限度額適用認定証」という書類を提出すると、窓口でははじめから所定額までしか請求されなくなるしくみになっています。

 マイナンバーカードを健康保険証として利用すれば、「限度額適用認定証」がなくても限度額以上の支払いをしなくてもよくなります。病院や薬局で高額な医療費を支払ったり、後で還付手続きをしたり、あるいは事前に健康保険の加入先で限度額適用認定証を発行してもらう手間がなくなるのです。

■確定申告の控除手続きが簡単に

 1年間の医療費が高額になったときに所得税の軽減を受けられる「医療費控除」にも、マイナンバーカードを活用できるようになります。医療費控除を受けるには確定申告が必要ですが、電子申告システム「e-Tax」で申告する場合には、対象になる医療費のデータを簡単にまとめて集計し、申告書に入力できるようになります。

マイナンバーカードを保険証として利用すれば、確定申告の際に領収書をひとつずつ転記する煩雑な作業は不要になる

 医療費控除を確定申告で適用するには、従来は領収書の内容をひとつずつ転記する必要がありました。これが、マイナンバーカードを健康保険証として利用すると、マイナンバー情報をインターネット上で管理する「マイナポータル」というサイトから医療費の情報が連携され、確定申告用のデータに反映されるしくみです。2021年分の確定申告、つまり2022年2月以降の申告から、運用開始される予定です。

 なお、どこの病院でどんな医療費がいくらかかったか、どこの薬局でどんな薬を処方されたかといった情報は、今年の10月以降からマイナポータルサイト上で閲覧できるようになります。

■利用には事前の申し込みが必要

 マイナンバーカードを健康保険証として利用するには、事前の手続きが必要です。マイナンバーカードに対応したカードリーダーや専用アプリを使って、スマートフォンやパソコンから手続きをします。一部の銀行ATMや薬局でも手続きできます。マイナンバーカードとその暗証番号を用意して、本人が申し込みをします。一度手続きをすればその後は基本的に更新などはなく、ずっと使うことができます。

 申し込み手続きは、すでに7月から受付開始しています。マイナポータルの専用ページ(https://myna.go.jp/html/hokenshoriyou_top.html)から、いつでも利用の申し込みができます。

 また、一度マイナンバーカードを健康保険証として登録しても、従来の健康保険証が使えなくなるわけではありません。加入している健康保険から発行された保険証も、引き続き使えます。マイナンバーカードに対応していない医療機関や薬局もありますので、しばらくは保険証も持ち歩いておくのがいいかもしれません。対応しているところには、「マイナ受付」というステッカーやポスターが貼ってあります。9月現在は病院や薬局では約8割、診療所は約4割でシステムの導入準備が進んでいるようです(*1)。ご自身のかかりつけ医やかかりつけの薬局が、マイナンバーカードに対応しているかどうかを確認してみましょう。

*1  厚生労働省「第145回社会保障審議会医療保険部会(ペーパレス) 資料」資料2オンライン資格確認等システムについて

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000834661.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000577618.pdf


■加藤梨里(かとう・りり)ファイナンシャルプランナー(CFP®)、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー、マネーステップオフィス株式会社代表。保険会社、信託銀行、ファイナンシャルプランナー会社を経て独立。専門は保険、ライフプラン、健康とお金。大学では健康増進について研究活動を行い、健康経営のコンサルティング支援をした企業が中小企業のトップ500「ブライト500」に認定。

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