【加藤梨里のお金と健康】感染で保険がおりる「コロナ保険」ってどんなもの?

昨年来、新型コロナへの保障をうたった「コロナ保険」が相次いで登場しています。感染時のお金の不安を抱える人を中心に支持を集め、販売も好調のようです。「コロナ保険」とはどのようなものなのか、また一般的な生命保険と何が違うのかを解説します。

■昨年春以降に発売相次ぐ

 新型コロナウイルス感染症が広がり、感染への不安が長引くことを受け、複数の保険会社がコロナへの対応を強調した生命保険を販売しています。いわゆる「コロナ保険」は、世界的に感染が拡大した昨年春以降に相次いで発売されており、存在感を高めています。

 保障される内容は、現在販売されているものでは、新型コロナで入院したときに10万円ーなどまとまった一時金が給付されるのが基本です。新型コロナと診断されれば自宅療養でも対象になることを強調しているものもあります。

 月々の保険料は、原則として年齢や性別、細かな保障の条件によって決まります(一部、例外もあります)。コロナでの入院時のみのように、ごくシンプルな保障に絞れば1カ月に数百円程度で加入できるものもあります。

■一般的な生命保険と何が違う?

 「コロナ保険」というとコロナだけに活用できる保険のように見えますが、そうとは限りません。基本的なしくみは、入院に対応できる一般的な生命保険(医療保険)とほぼ同じです。

 保険会社によって詳細は異なりますが、コロナ保険では病気やケガで入院したとき、あるいはコロナを含む所定の感染症で入院したときに、一時金を受け取れます。つまり、実は新型コロナに限らず、ほかの感染症や病気で入院した場合にも対象になります。

 契約内容が、上記のような入院時の一時金のみに限定されるものもありますが、保険会社によっては先進医療や女性特有の病気、がんなどに関する保障をオプションでつけられるところもあります。こうした保障は、一般的な生命保険・医療保険でも広く扱われています。その面では、コロナ保険は保障内容の面では他の生命保険と特別な違いはありません。

 強いて違いを挙げるとしたら、ほとんどがインターネット専用プランであることです。一般的な生命保険・医療保険にもネット専用のプランはありますが、類似のプランを店頭や対面でも扱っていることがあります。しかしコロナ保険のほとんどは保険会社の営業員や保険ショップでは申し込めず、自分で申込画面を操作して契約手続きをすることになります。保険料の払込みも、オンライン上でクレジットカード払いのみで受け付けているところが大半です。

 コロナ保険に限らず、ネット専用で申し込む生命保険の多くは、ウェブページ上で専門的な保険用語やプランの選び方を丁寧に解説していたり、コールセンターのサポートを受けながら操作を進められるようになっていたりしますが、対面で担当者の説明を聞きながら加入する方が安心な人には、ハードルが高いかもしれません。

■もともとコロナでの入院は生命保険の対象

 コロナ保険を検討するときにもうひとつ確認しておきたいのが、すでに加入している生命保険です。一般的な生命保険でも、新型コロナは保障の対象になるためです。生命保険のうち医療保険や、死亡時に保険金がおりる「死亡保険」のオプションとしてついている「医療特約」であれば、新型コロナで入院した際には給付金を受け取れます。

 また、ほとんどの保険会社ではコロナに関する特別対応を行っており、他の病気なら原則として病院への入院が要件になるところ、医師の診断や療養の指示があれば自宅療養やホテル療養でも給付される扱いにもなっています。 ⇒参考:【加藤梨里のお金と健康】コロナ治療に生命保険金は支払われるか?(https://lifraplus.com/healthcare/money-health-insurance

 もし、病気の入院に備えられる保険に加入していれば、その保険でコロナでの入院に十分に対応できる可能性があります。

 加えて、そもそも新型コロナの治療費の大部分は公費でまかなわれるしくみであるため、個人の自己負担は基本的にはありません。⇒参考:【加藤梨里のお金と健康】コロナと医療費 いくらかかる?(https://lifraplus.com/healthcare/money-health-covid-19

 ですから、もし加入を検討するのであれば、医療費の負担のために新たにコロナ保険に入るというよりは、感染によって急に入院しなければならなくなったときの生活への影響に備えるという観点で考えるのが向いているのではないでしょうか。例えば、急いで入院準備をしたために入院中に足りなくなってしまった生活用品や、療養中に出される食事以外の食料品の購入費、差し入れをしてもらう人の交通費、差額ベッド代などに、給付金をあてることが考えられます。

 一方で、これまで生命保険に加入していなかったけれど、コロナを機に保険を検討しようという人には、手頃な保険料で入院時に備えられるコロナ保険はシンプルでわかりやすいかもしれません。どんなときに保険の給付を受けたいか、自分のニーズを整理したうえで、ほかの医療保険・生命保険と合わせて選択肢のひとつにしてもいいですね。

※この記事は2021年6月21日時点の情報をもとに執筆しています。今後、状況が変わることがあります。個別商品の詳細は必ず加入先の保険会社にご確認ください。


■加藤梨里(かとう・りり)ファイナンシャルプランナー(CFP®)、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー、マネーステップオフィス株式会社代表。保険会社、信託銀行、ファイナンシャルプランナー会社を経て独立。専門は保険、ライフプラン、健康とお金。大学では健康増進について研究活動を行い、健康経営のコンサルティング支援をした企業が中小企業のトップ500「ブライト500」に認定。

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