【加藤梨里のお金と健康】コロナワクチン接種はなぜ無料なのか?

新型コロナウイルスのワクチン接種が、現役世代でも進んできています。希望する人は、自宅に届く接種券を利用して無料で接種することができます。ワクチン費用が無料になるしくみを解説します。

■接種回数は6,000万回超える

 65歳以上の方や基礎疾患のある方に優先的に実施されてきた新型コロナウイルス感染症のワクチン接種は、それ以外の人にも受付・接種が広がってきました。これまでに全国で約6,000万回の接種が行われ、2回の接種を完了した人も2,200万人以上にのぼります(7/12現在)。地域により接種券の発送や受付開始時期に差はあるものの、希望する人がワクチンを接種できる見通しが立ってきたようです。

首相官邸ホームページより

 新型コロナウイルスのワクチンは、希望する人は無料で接種できます。自治体から送られてくる接種券(クーポン券)を記載されている番号を使って、インターネットや電話で予約します。当日は接種券と予診票、本人確認証を持っていきます。窓口で費用を請求されることはありません。

 ワクチン接種は、原則としてお住まいの地域にある医療機関や接種会場、または国の大規模接種センターで受けます。例外的に、単身赴任や出産のための里帰りなど、住民票とは別の地域に住んでいるときには、事前手続きをすることで実際に住んでいる地域で接種することができます。専用サイト「コロナワクチンナビ」(下記)で届出をして、発行される「住所地外接種届出済証」を印刷、またはスマートフォンなど画面に保存します。接種当日に窓口で提示すれば、接種を受けられます。もちろん、接種費用はかかりません。

<厚生労働省「コロナワクチンナビ」>https://v-sys.mhlw.go.jp/application/change-region.html

■職域接種でも本人負担はゼロ

 勤務先の中には、職域接種を実施しているところがあります。これまでに約200万回の接種が実施されています(7/4現在)。期間や会場、申込方法などは各企業・団体により異なりますが、職域接種を受ける場合にも本人の費用負担はありません。

新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける都職員ら=1日、東京都庁

 接種会場を設けるためには会場施設費や医師などの人件費がかかりますが、勤務先が負担するしくみになっており、接種する個人がワクチン摂取料を支払うことは原則としてありません。また、職域接種を行う企業・団体には国から費用の補助制度が設けられています。

■「ワクチン無料」の理由とは…

 ワクチンは、赤ちゃんや子どもと違って、成人になると接種する機会がそれほど頻繁でない人が多いのではないでしょうか。

 毎年、秋から冬にかけて流行しやすい季節性インフルエンザのワクチンは幅広い年代が接種対象になりますが、必須ではないため接種しない人もいます。摂取率は例年、多くの地域で費用が補助される子どもの場合で50~60%、高齢者で40~70%で、それ以外の年代ではもっと低いと考えられます。

 一方で、新型コロナウイルスのワクチン接種は「努力義務」とされ、希望する人全員に2回の接種ができるように進められています。希望する人への供給が行き渡れば、摂取率は高くなると考えられます。

 それだけ多くの人にワクチンを提供するには莫大な費用がかかるにもかかわらず、個人の負担が無料なのは、新型コロナの感染拡大を抑えることが急務であるからにほかなりません。

 まん延を防止するために2020年12月に予防接種法が改正され、新型コロナのワクチン接種は、おもに子どもが接種する4種混合や麻しん、風しんなど定期接種のワクチンと同じ扱いになりました。無料にすることで接種のハードルを下げて、全国的に感染症を予防できるようにするしくみです。

■健康被害の救済制度も

 ただし、ワクチン接種は任意です。強制ではありません。厚生労働省では「予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、自らの意志で接種を受けていただいています」としています。

 また、もしも接種の副反応によって健康被害が生じた場合には、救済制度があります。「予防接種健康被害救済制度」といって、新型コロナウイルスワクチンに限らず、法律で定めるすべての予防接種が対象です。ワクチンの副反応が原因で後遺症が残ったり、治療が必要になったりしたときに、医療費の自己負担分や、入通院にかかった経費が支給されます。万が一、健康被害の結果として障害が残ったときや、死亡した場合には、一時金や年金の支給もあります。

 支給を受けるには接種を受けた市町村に申請をして、ワクチンと健康被害との関係について審査を受けます。関連があることが国に認定されると、給付されます。

健康被害救済制度申請から認定・支給までの流れ

 全国的にワクチン接種が進むと、新型コロナウイルス拡大が終息に向かっていくと期待されています。希望する人がお金の負担を心配せずに接種を受け、コロナへの不安も軽減されていくといいですね。

※この記事は2021年7月8日時点の情報を元に執筆しています。今後、状況が変わることがあります。最新の情報は必ずお住まいの地域の窓口等にご確認ください。また、この記事は新型コロナウイルスワクチン接種の勧奨を目的としたものではありませんので、接種についてはかかりつけ医などにご相談のうえ、ご自身でご判断ください。


■加藤梨里(かとう・りり)ファイナンシャルプランナー(CFP®)、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー、マネーステップオフィス株式会社代表。保険会社、信託銀行、ファイナンシャルプランナー会社を経て独立。専門は保険、ライフプラン、健康とお金。大学では健康増進について研究活動を行い、健康経営のコンサルティング支援をした企業が中小企業のトップ500「ブライト500」に認定。

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