【加藤梨里のお金と健康】コロナと医療費 いくらかかる?

 第4波の拡大が続く新型コロナウイルス感染症。各地で徐々にワクチン接種は始まっているものの、変異株の広がりもあり、感染への不安は改めて高まっているように感じます。では、もしも新型コロナに感染したら、医療費の負担はどれくらいかかるのでしょうか?新型コロナの治療にかかる費用について解説します。

■新型コロナの医療費は基本的に自己負担ゼロ

 新型コロナウイルス感染症にかかったときには、治療にかかる費用は基本的に無料です。一般的な病気やケガで入院すると、入院基本料や検査料、投薬料などの診療費がかかりますが、新型コロナの治療では患者さんの自己負担はかからないことになっています。公費負担といって、国や都道府県が費用を負担するためです。

 これは、感染症治療の体制が所定の水準を満たす「感染症指定医療機関※」に入院した場合はもちろん、新型コロナでの入院では、指定外の病院・診療所でも同様です。陽性と診断された日以降の入院費用は、自己負担がゼロになります。

※厚労省のサイト⇒https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou15/02-02.html

 新型コロナウイルス感染症の陽性と診断されると、指定された医療機関や療養施設へは保健所が手配する専用の車で移動します。この交通費も無料です。他の人へ感染を拡大させないために、電車やバスなどの公共交通機関には乗れません。ただし、治療をして陰性が確認され、退院するときには車は手配されず、交通費は自己負担になります。

■差額ベッド代や日用品は全額が自己負担

 基本的な入院の費用はかかりませんが、自分の希望で個室に入った際の差額ベッド代や、テレビの利用料は全額が自己負担です。

 また、パジャマや着替え、洗面用具など、身の回りの日用品の費用も自己負担です。ただ、感染対策のために持ち込む荷物は最低限にするよう指示される病院もあり、それほどたくさんの買い物が必要にはならないかもしれません。

 なお、病院で提供される食事は、医療費と同様に原則として無料です。自分の好みの食べ物や飲み物がほしいときには自己負担ですが、新型コロナの治療中には部屋の外に自由に出ることはできないことがほとんどですから、入院後は自分では買い物に行けないでしょう。家族などからの差し入れも、病院によっては制限があるようです。 

 新型コロナで入院治療をした場合、咳や発熱などの症状があれば人工呼吸器を要しない軽症であっても、退院は発症日から10日間、かつ症状が軽快してから72時間以上経過してから、などの退院基準があります。つまり少なくとも10日前後の入院をすることになります。いざ、予期せぬ感染症で入院することになったとき、短いとはいえない入院期間をどんな風に過ごすか、そしてどんなお金がかかるか、少しでもイメージができていると安心ではないでしょうか。

■自宅療養・宿泊療養でも医療費は無料

 医療費が無料なのは、自宅療養・ホテルなどでの宿泊療養でも同じです。

 新型コロナの陽性でも無症状、または軽症のケースでは、病院には入院せずに自宅や保健所が指定するホテルなどの宿泊施設で療養することがあります。療養中には電話やLINEを通じて健康観察を受けるほか、症状によっては医師の往診や訪問診療、病院の外来での診察を受けることがあります。これらの診療についても、費用の自己負担はありません。処方薬を出してもらった場合も同様です。

宿泊療養・自宅療養中の医療費等の取扱い

 (厚生労働省資料より)

 ただし、新型コロナに関係ない医療については扱いが異なります。たとえば自宅療養中にケガをしたなど、新型コロナの治療ではない診療にかかる医療費は、一般的な医療費のしくみと同じです。保険がきく治療なら、現役世代の場合は自己負担3割です。

■宿泊療養の宿泊料・食事代は無料

 宿泊療養の場合、都道府県の保健所が指定するホテルに滞在します。観光やビジネスでの利用とは違い、宿泊料はかからず、1日3食の食事も無料です。食事の献立は各ホテルで一律に決まっていますが、食欲のない人のためにゼリーやレトルトの軽食を用意してもらえることもあるようです。地域によっては差し入れが可能で、好みの飲み物やおやつなどを家族や知人に持ってきてもらえます。当然、この費用は自己負担になります。

 療養での滞在中は、一般的なホテル滞在のようにベッドやリネン、シャンプー、リンス、ボディソープ、歯ブラシなどは用意されているホテルが多いようです。バスタオルやハンドタオル類も、あらかじめ部屋に備え付けられているところもあります。シーツ交換は療養が終了するまでないか、頻度がそれほど多くないようですが、足りないときには新しいものを貸してもらえるようです。こうしたアメニティなどの費用も、基本的にはかかりません。

 洗面用具やタオルなど、滞在に最低限必要なものはそろっていますが、新型コロナの宿泊療養は陽性と確認された日から、「発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後72時間経過した日」まで続きます。療養中の体調、そして発症日から診断される日までのタイミングによって滞在する日数には個人差がありますが、ある程度の期間を過ごすことになります。できるだけリラックスして快適に過ごすなら、パジャマやタオル、着替えや身だしなみに必要な日用品などは自分で用意してもよいかもしれません。

 宿泊療養の場合も病院への入院と同じく、陽性と判断されて療養を始める際には専用の搬送車で移動します。自宅からホテルまで、搬送車の利用料はかかりません。療養が終了して帰宅するときには、自分で公共交通機関に乗りますので、交通費がかかります。

 このように新型コロナの治療では、入院する場合も、自宅療養や宿泊療養の場合も、医療費の大部分は自己負担がありません。反面で療養期間の生活に関わるお金は自己負担になる部分が大きいです。軽症や無症状でも、療養期間は10日前後を要します。予防や治療に関することとともに、その間にかかるお金の流れも知っておくといいですね。

※東京都のサイト⇒https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/syukuhaku.html

 ■加藤梨里(かとう・りり)
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー、マネーステップオフィス株式会社代表。保険会社、信託銀行、ファイナンシャルプランナー会社を経て独立。専門は保険、ライフプラン、健康とお金。大学では健康増進について研究活動を行い、健康経営のコンサルティング支援をした企業が中小企業のトップ500「ブライト500」に認定。

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