車内で医療や介護の相談を

 保健師らが車で町や企業に出向いて、簡単な健康チェックや相談に応じるサービスを始めている。車内で周りを気にせず、一度で医療や介護の専門的な助言を受けることができる。

「移動ほけん室」の車内で自己採血の健康チェックを受ける女性(左)=2020年12月、大阪府池田市

「移動ほけん室」

 「定期的に医師に診てもらって楽しく暮らしましょうね。食事で気になることはありますか」

 昨年12月、大阪府池田市の公共施設で、「F・Link(フリンク)」(大阪市、若井奈美代表取締役)の看護師らが健康相談に来た地元の女性に話し掛けた。外に止めたキャンピングカーの中で、自己採血で分かるコレステロールなどの数値を確かめ、質問に丁寧に答える。

 フリンクは、看護師や保健師、管理栄養士らが依頼を受けて町や企業に出張し、車の中で健診や相談に乗る「移動ほけん室」を実施している。この日は、中心街から離れた住宅街の移動手段として車を活用する、国などの実証実験に参加した。お年寄りは、足腰が弱って家にこもると運動機能が落ち、生活の質が下がる恐れがある。新型コロナウイルス感染防止で受診控えも起きている中で、身近な場所で助言を得る機会は頼りになる。

自宅前に止めて

 言いにくい悩みでも、プライバシーを保った車内ならば伝えやすい。

 ある地域の駅前で相談会を開いた時、女性が同居の祖母とともに訪れた。物忘れが目立つが、病院に行きたがらない祖母を心配して頼ってきた。

 簡単なチェックをすると、軽い認知症が疑われた。行政サービスにつなげ、祖母は地域の運動教室に通うことになった。

 ごみだらけの部屋を恥じるなどして、自宅訪問を拒む人もいる。自身も保健師の若井さんは「自宅前に車を止めて来てもらったり、仕事帰りの人のために商店街などで夜に実施したりと、相談しやすい工夫をしています」と話している。

「両立」に悩む姿

 企業の保健指導に出張する事業も実施している。職場にプライバシーを保つ部屋がなくても、車内ならば社員が本音を明かすことができる。

 不眠や体調不良の訴えに耳を傾けるうち、親の介護で睡眠が取れないなど、仕事との両立に悩む姿が見えてくる。

 親が施設入所を嫌がり、在宅介護だけと思い込む人には「親と一緒に施設を見学し、気に入ってくれたら入所も選択肢にしては」と提案した。

 「抱え込まず、打ち明けて解決策を見つけましょう」

 若井さんはこう話している。

関連記事

  1. 【加藤梨里のお金と健康】8月から介護保険の自己負担増~費用負担のしくみとは?

  2. 【加藤梨里のお金と健康】認知症の人が賠償事故を起こしてしまったら? 自己負担なしで加入できる保険も

  3. 仕事のミスが増えてませんか。そんなときは… 

  4. 心電図アプリで不整脈の早期発見へ アップルウォッチ外来

  5. 【食と健康 ホントの話】緑内障とコーヒーの関係

  6. 【加藤梨里のお金と健康】コロナ治療に生命保険金は支払われるか?

  7. 【加藤梨里のお金と健康】新型コロナワクチン詐欺に要注意!

  8. 認知症公表の92歳医師と娘がつづる「日記」が反響

  9. 【画期的!アップルウォッチで心臓病予防】脳梗塞前の心房細動で治療開始

logo logo

連載

PAGE TOP