7~8割が発症を防げる、インフル治療薬「予防投与」って何? 

経口薬と吸入薬がある抗インフル薬

 インフルエンザ(以下、インフル)予防の基本はワクチン接種になる。しかし、流行するインフルの型はシーズンによって異なるので、重症化は防げても完全に感染・発症を防ぐのは難しい。

 そのため2004年からインフル治療薬である「タミフル」が予防でも使えるように効能追加された。昨年11月には「ゾフルーザ」も予防で使えるようになり、現在、国内では5剤(4成分)の抗インフル薬の「予防投与」が認められている。

重症化リスク高い、高齢または基礎疾患持つ同居家族が対象

 予防投与は、どんな人が対象になるのか。内科・呼吸器内科・アレルギー科「弘邦医院」(東京都江戸川区)の林雅之院長が説明する。

 「予防投与は、インフルを発症している患者さんと同居している家族などに対して行われます。そして原則として、高齢者や基礎疾患を持つなど、重症化のリスクが高い人が対象になっています。ただし、抗インフル薬を予防で使う場合、ワクチン接種と同じく公的保険は利かず、自由診療(全額自費)になります」

 ワクチン接種は、ワンシーズン(約5カ月間)の免疫力を高く保ち続けるためのもの。一方、抗インフル薬は感染したウイルスの増殖を抑える薬。そのため予防投与の効果は、投与期間に限られる。インフル患者との接触から36時間以内に投与を開始すれば最も効果を発揮し、7~8割の人がインフルの発症を防げるとされている。

 抗インフル薬を予防投与で使う場合は、「投与量」や「投与期間」が治療で使う場合とは異なる。どの薬も治療に使う量の半分を、倍の期間使用する。タミフル(内服薬)は7~10日飲む、リレンザ(吸入薬)は10日間吸う、イナビル(吸入薬)は2日間吸う、ゾフルーザ(内服薬)は1回飲む、といった使い方だ。 

 では、「入試」や「面接」「結婚式」などの人生の重要イベントを間近に控えていて、同居家族がインフルにかかった。しかし、高齢者でなく基礎疾患もないという人の場合、予防投与を受けることができないのか。

 「その判断は医師や医療機関によって分かれると思います。それは薬剤の添付文書に記載されていない使い方(適応外処方)になると、もし重い副作用が出た場合に『医薬品副作用被害救済制度』の対象とならず、補償が受けられない可能性があるからです。また、抗インフル薬を安易に処方し過ぎると、薬への耐性ウイルスの出現が懸念されます。まずは、かかりつけ医に相談してみるのがいいでしょう」

 インフル予防に関わる費用は施設によって異なり、ワクチン接種は3000~4000円(自治体の助成あり)、抗インフル薬の予防投与は1万円前後(診察や検査代含め)が多い。

■予防投与の主な対象者

インフルエンザを発症している患者の同居家族や共同生活者で、下記に該当するもの

□65歳以上の高齢者

□慢性の呼吸器疾患がある

□慢性の心臓病がある

□糖尿病などの代謝性疾患がある

□腎機能障害がある

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