【食と健康 ホントの話】地域の食文化に合わせた肥満予防法 

琉球大学病院では玄米食を推奨している

 旅行の楽しみの1つは、その地域の特産品・食べ物を味わうこと。たとえば京都なら、懐石料理などの、だしがきいて塩分控えめの和食を食べたいと思う人は多い。近年は伝統的な食文化に加えて、新しい食文化が根付いている。たとえば京都市は、パンの世帯購入金額(≒消費量)が全国トップクラス。またラーメンの人気、レベルともに高いと評判だ。

 簡単に言ってしまえば、こうした現象は「食の欧米化・高脂肪食化」で、全国で起きている。だが細かく見ていくと、その地域ならではの特徴と対策も見えてくる。

 日本肥満学会・日本肥満症治療学会学術集会のシンポジウム「地域文化に根ざした栄養指導と運動療法」で先日、そのような例と治療法の発表があったので紹介したい。

 京都大学医学部附属病院疾患栄養治療部(幣憲一郎副部長発表)は、京都府は和食文化とパンやラーメンのどちらも慣れ親しんだ「食文化」であると紹介。肥満患者への治療は、その食文化を最大限に活用することが重要だという。たとえば和食を好む人には具だくさんの味噌汁を食べることを指導することは多いが、パン食の人にも具だくさんのスープをすすめている。また、食生活改善にともなう患者の「治療満足度評価」を常に行い、満足度が低下していないかを意識することが大事だという。つまり、おいしくないと食事療法は続かないということだ。

 そのためにも、味噌汁ならだしをしっかりとり、野菜に加えてきのこや海藻を入れて、味と具の満足度を高めるとよいという。

魚を食べているから大丈夫?油断は禁物

 富山大学附属病院栄養部栄養管理室(甲村亮二室長発表)は、「とやまパラドックス」を紹介。魚介類の消費量が全国トップクラス、そのためか肥満率は全国最下位レベルにも関わらず、糖尿病やメタボリックシンドロームが多いという矛盾を抱えている富山県。その理由に、カツレツ、天ぷらなどの揚げ物の摂取量や、プリン、アイスクリーム・シャーベット、チョコレートなどの嗜好品の摂取量が多いためだという。このような食習慣が、飽和脂肪酸や糖質の過剰摂取を促し、内臓脂肪型肥満を誘発していると考えられる。「自分は魚を食べているから大丈夫」と油断しないことが大切だ。

 また、1人当たりの車の保有台数が高く、移動は車に依存。健康的な生活には体を動かすことも大切であることから、富山市も日常の運動の重要性を後押しし、「とほ活」キャンペーンを行っている。具体的には、できるだけ公共交通機関を使った移動を推奨している。

 琉球大学病院栄養管理部(山川房江副部長発表)は、「沖縄クライシス」を説明。長寿の島として世界的に有名だった沖縄県は現在、肥満、糖尿病の代表県に。沖縄の伝統食は白飯より玄米や芋、脂質の少ない肉、野菜、豆腐、魚、そして腹八分目だった。しかし現在ではハンバーガー、フライドチキン、フライドポテトの摂取が急増。人口10万人あたりのファストフード店舗数は、東京都に次ぎ第2位。一方、魚介類の摂取量は全国最下位、野菜の摂取量も大幅に少ない。

 このため琉球大学病院では玄米食をすすめている。玄米食は、食後の血糖値、インスリン値の上昇を抑えることなどはよく知られている。さらに琉球大学第二内科の研究チームにより、ガンマオリザノールという成分が脳の視床下部に働きかけて、動物性脂肪に対する依存性を緩和することがわかっている。肉を食べすぎてしまう人にはとくにおすすめだ。(医療ジャーナリスト 石井悦子)

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