心電図アプリで不整脈の早期発見へ アップルウォッチ外来

 昨年9月、厚労省は米国アップルの「アップルウォッチ」(シリーズ4以降)に搭載された「心電図アプリ」を家庭用医療機器として認可。そして今年1月、このアプリを使うのに必要な「iPhone」用のOSのアップデートが行われたことで、国内でアップルウォッチを使った心電図の計測が可能になった。

 高血圧の人が自宅で血圧を測るように、どのような人が心電図アプリを使うとメリットがあるのか。昨年から心電図アプリを活用した「アップルウォッチ外来」を設けている「お茶の水循環器内科」(東京都千代田区)の五十嵐健祐院長が説明する。

早期発見の一次スクリーニングに

 「アップルの心電図アプリは、『心房細動』というタイプの不整脈の兆候の検出を目指した医療機器です。不整脈が疑われる症状は動悸(どうき)ですが、約半数の人は症状がありません。ですから、不整脈が一気に増える50歳以上の人には、早期発見につなげる一次スクリーニングとして有用です」

 心房細動とは、4つある心臓の部屋の上半分の「心房」が細かく早く、不規則に震えて脈拍が乱れる不整脈。放置すると怖いのは、心臓の中で血栓ができやすく脳の血管を詰まらせる「心原性脳塞栓症」の原因になるからだ。国内の推定患者は100万人超とされる。

 健康な人でもよく起こる「期外収縮」という心配ない不整脈が最も多いが、危険な不整脈かどうかを診断するには不整脈が起きている瞬間に心電図検査を行わないと分からない。そのため病院の健康診断で行われる一般的な「12誘導心電図」(12種類の波形が得られる)の他に、24時間記録できる「ホルター心電図」や、症状が起きたときに自分で測る「携帯型心電計」などがある。

 心電図アプリはどのように使うことで、何がどこまで分かるのか。

 「心電図アプリを起動させ、アップルウォッチ本体右側にあるコントローラーに30秒間指を当てると、その間にI誘導(1種類の波形)に近い誘導の心電図が得られます。その波形データはiPhoneに記録されるので、メールなどで送信して医師と共有もできます。米国の臨床研究では、心房細動の診断精度は一致率84%と報告されています」

 また、操作しなくても心拍リズムを定期的にチェックしてくれて、不規則な心拍リズムが検出されるとユーザーに通知する機能も備わっている。

 ただし、心電図アプリで得られる情報は、あくまで参考指標の1つでしかない。アップルウォッチ外来でも、診療内容や医療費は通常と変わらない。アップルウォッチを持つ患者が心電図アプリを活用したい場合に、治療に対するモチベーションが向上するので、データを共有して心房細動の疑いや精密検査の必要性などの参考にしているという。

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