【中高年のための認知症講座】米で承認のアルツハイマー病の新薬「アデュカヌマブ」は年内にも日本国内で認可へ

米食品医薬品局が承認したアルツハイマー病新薬「アデュカヌマブ」(バイオジェン提供)

今までの薬とはメカニズムが根本的に違う

 認知症、あるいはMCI(軽度認知障害)の親の介護で戸惑っている中高年は多い。正常な老化を経ている人の見守りでもそれなりの苦労はあるが、認知機能が低下し、人によっては性格が変化したように見える親の介護に疲弊してしまう人もいる。今回は、その大変さを少し軽くしてくれそうな情報を提供したい。

 ご存じのように、アルツハイマー病などの認知症には根治療法はなく、薬物療法は進行を遅らせることが目標となる。そのため、「効かない(根本治療ではない)薬を飲ませる意味はあるのか」「怒りやすくなるなどの副作用が出て困る」と考える人がいる。そうした中、米国で承認された「アデュカヌマブ」が注目されている。アルツクリニック東京の新井平伊院長が解説する。

 「今までの薬とはメカニズムが根本的に違います。今までの薬は、アルツハイマー病では減少してしまう、記憶に関係する神経伝達物質のアセチルコリンを増やそうとするもの。対して新薬は、溜まってきたアミロイドを減らす作用があります。今まではどちらかというと、アルツハイマー病の初期の患者さんで臨床試験を行っていました。今回の薬は主にその前段階のMCIで、神経細胞がそこまでダメージを受けていない段階で行っています。神経細胞の働きがある程度残っているうちに神経毒を減らさないと意味がないからです」

 当然エビデンスはあるものの、実際にどのくらい効果が得られるかは、引き続きフォローすることになると新井院長。日本でも年内に認可されるかどうかが決まる。とくに64歳以下で発症する若年性アルツハイマー病には認可される可能性があり、「症状改善薬」であるこれまでの薬から「疾患修飾薬」の治療の道が開けそうだ。

 親の介護に話を移そう。よかれと思ってしたことでも、受け入れてもらえなかったり嫌がられたりすることは多く、疲弊することもしばしば。

 MCIの人を対象に、アルツクリニックや東京都立松沢病院(世田谷区)などで患者の認知リハビリテーションや家族のケアを指導する、上智大学総合人間科学部心理学科の松田修教授は、「基本的にはみなさん正解はわかっていらっしゃるし、どうすべきかということもわかっている」と話す。

上智大学総合人間科学部心理学科の松田修教授

 家族だからこそできることと、家族だからこそできないことがある。上手に距離をとっている人もいれば、過去の軋轢(あつれき)が再燃してしまう人も。

 「親子であったり夫婦であったりすると難しい場合も多い。しかし、それぞれご家族の歴史があるので、どれがいいどれが悪いということはありません。よくやっているように見える人でも、100点満点のはずはないのです」

 みんなそんなものだ、と思うだけでも気が楽になる。心に余裕ができ、もう少し現状を広く見られるようになる。あるいは「まぁ元気でいてくれれば」という、よい意味のあきらめもつく。

 「全体の物事が見えてくると、結果的に親御さんを急かさなくなったり、遮らなくなったりします。家族の方がニコニコしていると、患者さんも穏やかに過ごせます。結果的によく回るようになることが多い」

 いつもよりイライラする場合は、自分のほうが参っているので休憩を。「最後は介護者自身のメンタルヘルスを優先してください。自分が倒れると結局、患者さんが困ることになります。無理はせず、人に頼んでください」

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