【食と健康 ホントの話】緑内障とコーヒーの関係

 コーヒーは適度に飲むと健康によい、ということはほぼ間違いないようだ。近年の内外の研究では、糖尿病、心血管疾患、肝硬変、大腸がんや肝がん、認知症になりにくく、全死亡率も低いという結果が報告されている。

 コーヒーにはクロロゲン酸というポリフェノールが含まれているが、この抗酸化物質が、体を活性酸素から守っていると考えられている。

 加齢の他、ストレス、食品添加物、タバコ、激しい運動、多量飲酒、紫外線など、たくさんのものが活性酸素が体内にたまる原因となる。過剰な活性酸素は細胞や遺伝子を傷つけたり、動脈硬化を引き起こしたりして、生活習慣病をもたらす。そこで、活性酸素を除去する抗酸化物質が必要になる。

 抗酸化物質にはポリフェノールやビタミンA、C、E、カロテノイドなどがあり、毎日の食事から摂取するのが望ましい。コーヒーが好きな人、飲める人にとっては、嗜好品が健康につながるので一石二鳥だ。

 コーヒーと目の関係についての研究はあまりなかったが、京都大学大大学院医学研究科眼科学の三宅正裕特定助教、辻川明孝同教授、中野絵梨同博士課程学生を中心とした研究グループによって、昨年発表されている。

京都大学大大学院医学研究科眼科学の三宅正裕特定助教

 同グループは、緑内障発症・進行の危険因子である「眼圧」とコーヒーの関係に着目。京都大学附属ゲノム医学センターが滋賀県長浜市と共同で実施する「ながはま0次予防コホート事業」(長浜スタディ)の9850人のデータを用いて、習慣的なコーヒー摂取量と眼圧との関係を調べた。

 緑内障は視野が欠けていく病気で、日本人では40歳以上の20人に1人が罹患している。進行すると視力が低下するため、現在は日本人の視覚障害の原因の第1位となっている。

摂取頻度が高いほど眼圧低く

 まずコーヒー摂取頻度について問診で聴取し、「1日1回未満」「1日1回」「1日2回」「1日3回以上」の4群に分類。コーヒー摂取頻度と眼圧の関連解析を行ったところ、緑内障と指摘されたことがない人では、眼圧に関わるさまざまな因子(年齢、性別、角膜厚など)で補正しても、習慣的なコーヒー摂取頻度が高いほど眼圧が低いことが確認された。

 具体的には、1日3回以上飲む人は、1日1回未満の人に比べ眼圧が約0・4mmHg低いという結果に。参加者全体の平均眼圧が14・7mmHgだが、その約3%分の眼圧が低かったことになる。なお、緑内障と指摘されたことがある人とない人とで比べた場合は、コーヒー摂取頻度に明らかな差は見られなかったそうだ。

 今回の研究結果では、コーヒーをよく飲む人ほど眼圧が低いことを示したが、残念ながら、コーヒーを飲むことで眼圧が下がるのかを検証したものではない。緑内障ではない人が予防できるかどうか、またすでに緑内障になっている人でコーヒーが眼圧を下げるかについても不明だ。

 三宅特定助教は「現時点での知見では、緑内障の家族歴や落屑症候群と呼ばれる眼の特徴がなければ、今まで通り飲んでもらって大丈夫です」という。また、緑内障は早期発見が大切であることを知ってほしいと話す。

 「緑内障で悪くなった視野は戻すことはできず、それ以上悪化させないようにすることが治療となりますから、早期発見が重要です。若年者を中心に近視が増えていますが、近視が強い人は緑内障を合併しやすいことも知られています。健康診断を含め、定期的な眼科検診をぜひ受けてください」(医療ジャーナリスト 石井悦子)

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