【元病院長のこだわり定年ライフ】42年間! 乗り続ける相棒ポルシェ。原体験は”てんとう虫”

順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院の院長職を2021年3月で退任。定年を迎えた元病院長は、これまでの人生で極めてきた数多くの趣味に、たっぷりの時間をかけて、さらに磨きをかける!

 エンジンが付いていればチェーンソー、芝刈り機、さらに耕運機から除雪機に至るまで何でも大好きというのが私の特性だ。もちろん、車が好きではないはずがない。

中学生時代には運転マスター!?

 私の祖父は陸王(編注:かつての日本にあったバイクブランド)、インディアンなどのバイクを複数所有し、それに乗ってひょいと旅に出ると一月も帰って来ない人であったが、それが私に隔世遺伝したらしい。小さい頃から車が好きで、いつも車の絵を描いて時間を潰していた。勉強ノートも車の絵だらけ。実際、高校に入った頃はカーデザイナーを目指そうと思っていた。その後登場した車を見ると案外いけていたかと思うこともある。

愛車スバル360(てんとう虫)を操縦する私

 何しろ幼小の頃からとにかく車好きだ。母が運転する車に乗りながらその基本構造や運転の仕方は小学生の内には熟知していた。そして実は中学に入った頃には写真のように父の往診用の当時”てんとう虫”と呼ばれていたスバル360をスイスイと走らせるようにはなっていた(ちなみこの場所は道路交通法上の公道には相当しない=上の写真)。

 そして16才になった時、バイクの免許より先にすぐさま軽自動車の免許を取得した(編注:1968年まで16歳から取得できる軽乗用車運転免許があった)。さすがにこれで通学はしなかったが、塾に通う時や、たまには友人達と札幌でスキーに出かけたりしていた。

16歳で免許、ヒールアンドトゥも

 この”てんとう虫”が私の車の原体験であるが、今でも乗りたいと思うほどに良い車で、その後私のカーライフに大きな影響を与えることになる。病院の従業員旅行の運転手としてかり出され、大人4人を乗せて往復500Kmほどのドライブも難なくこなすこの車に魅せられた。さらに空冷リアエンジンで勿論その原型は”かぶと虫(ビートル)”と呼ばれたフォルクスワーゲンと思われるが、後輪のトラクションが強く、スキーに行くとお尻の軽いクラウンなどが滑って登れない山道をひょいひょいスバルは登って行った。ローギアにはシンクロ装置が無く、セカンドからローへは所謂ダブルクラッチと呼ばれるニュートラルでの中吹かしが必要で、「ヒールアンドトゥー」もその頃からこなしていた。

山荘エリアのホテルでのクラシックカーミーティングに参加したポルシェ356のカブリオレ

ポルシェ911に衝撃。絶対買う!

 この車の原型と考えられるワーゲンの”かぶと虫“は国民車構想を抱いたヒトラーの命によりフェルディナンド・ポルシェ博士が設計した。彼は維持費がかからず故障も少ない事からエンジンを空冷とし、さらにドライブシャフトも不要で、重量およびスペースユーティリティーの有利さからそのエンジンをリアに搭載した。まさにその彼の設計思想は当を得たもので、この車は戦後ドイツばかりでなく米国をはじめ世界中の人々に愛用される車となった。しかし、彼の基本思想は国民車に留まらなかった。その息子のフェリー・ポルシェは”かぶと虫“をベースにより採算性のよいスポーツカーの製造を思いつき、356という名車を生み出した(上の写真)。さらに孫に当たるブッツィはそれにより洗練させたスタイルと高性能な空冷6気筒エンジン与えた911と言う名車に発展させた。

 この911を当時カーグラフィックで初めて見た私は中学2年生であったが、これこそ自分の求めていた車で将来死ぬまでに絶対手にしようと心に決めていた。何より自分の愛した“てんとう虫”のスーパー仕様だ。

念願かなって購入。今も手放さず

 時は流れて十数年、911を買うのは絶対に無理と思っていた。しかし、食い物代を詰め、海外に於ける長期の出張をこなし、さらに運の良いことに昭和50年の新たな排ガス規制前の愛車が買った時より高く売れた事から、ポルシェ924を購入、そして1979年に空冷最後の911となるであろうと言われた911SCをどうにか手に入れる事が出来た。以来、42年間この車を手放さずに乗っている(下の写真)。

1979年に購入し、現在も乗り続けている1979年型ポルシェ911SC
後ろ姿

息づく設計者の思想。最新型では味わえず

 なぜこの古い車かって? この古い空冷ポルシェには設計者の思想がそのまま生き残っている。とにかく軽い。今の車は安全対策等の要因で肥大化し、実に重い。さらに私の930と呼ばれる形式の911の後継型の964にはオートマチックが用意され、それに合わせてエンジンの特性が大きく変わった。オートマに合わせてより低回転からトルクが出る様になり、それまでの車が持っていた3500回転以降の急激なエンジンの立ち上がりがレブリミットまで突き抜けて行く感じがなくなった。これはそれまでのポルシェ乗りには受け入れがたい辛い変化だ。この車を手放せない一番の理由はこのエンジン特性にある(下の写真)。その特性を操るのが面白い。今の最新ポルシェでは到底味わえない。たとえそれが絶対的に速くとも。

911SCの空冷エンジン

 この古いポルシェは確かに高い買い物であった。しかし、40年経った今もボディーは卵の殻のように硬くミシリともしないし、ドアはカチーンと金属音を立てて締り、エンジンは留まるところを知らぬように吹き上がる。

 これからも乗り続け棺桶代わりにしようかとも思っている。手放せない相棒だ。

髙崎芳成(たかさき・よしなり) 1950年8月生まれ。順天堂大学医学部卒業。同大博士課程修了。米コロラド州立大学研究員を経て、2005年順天堂大学医学部教授。専門はリウマチ科・膠原病内科。2011年、順天堂大学医学部附属順天堂医院院長、2016年、順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院院長。2021年3月に同院長退職。日本内科学会評議員、日本リウマチ学会理事長などを歴任。70歳になり八ヶ岳山麓に拠点を移した。バイク、スポーツカー、ワイン、カメラ、スキーなど多彩な趣味を謳歌し、週2日だけ都内で医師として働く。

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