「こだま」は何本の「のぞみ」に抜かれるか

東京を出発して、早くも小田原で「のぞみ」と「ひかり」1本ずつに道を譲る。手前が乗車した「こだま」

 JR東海は昨春、1時間あたりの「のぞみ」の本数を10本から最大12本に増やせるダイヤ改正を実施。「のぞみ」が5分に1本のペースで東京-新大阪を2時間30分足らずで結ぶ一方、「こだま」は丹念に各駅に停車し、沿線の都市間輸送を担う。そこで思い立ったのが、「こだま」が東京-新大阪の約4時間で何本の「のぞみ」「ひかり」が抜いていくかを数えてみることだった。先日、東京9時57分発の新大阪行き「こだま715号」の16号車自由席に陣取った。

 「こだま715号」は快適な滑り出し。16号車の乗客は10人ほど。気兼ねなく、シートの背もたれを倒してくつろげた。

 いよいよ小田原で最初の通過待ちだ。5分停車で2本に抜かれた。JR東海のホームページにある「東海道・山陽新幹線」の時刻表によると、最初の列車は東京を3分後に出た「のぞみ219号」、次が6分後発の「ひかり507号」。ホームで列車を見送る。「お急ぎの方はどうぞお先に」といったところだろうか。

 その後も静岡と、通過待ちができない構造の熱海以外で後続をやり過ごす。6分停車の名古屋では、東京を1時間3分後に出発した「のぞみ225号」がとなりのホームに到着し、先に出発して行った。

東京駅の案内板。表示されている後発の「のぞみ」にはすべて抜かれる

 岐阜羽島で1本、米原で東京を1時間21分後に出た「のぞみ331号」に抜かれて通過待ちは終了。名古屋で停車中に道を譲った1本を含め、追い抜いて行った列車は計14本だった。

 この日は台風の影響でダイヤが乱れ、新大阪には約1時間遅れで到着したが、正規のダイヤでの東京-新大阪は3時間57分。東海道新幹線が1964年10月に開通した当時、最速列車の「ひかり」は4時間。現在の「こだま」は十数本の通過待ちで停車時間が計1時間弱もありながら、当時の「夢の超特急」と同等の速さを誇るのは、車両の性能アップが大きな要因だ。

 最高時速が開業時の「0系」は210キロだったが、現在は最新の「N700S」など、285キロに統一されている。これにより、加速性能も向上し、「こだま」の駅間の所要時間が少しずつ短縮されている。また、ATC(自動列車制御装置)の改良で「こだま」が通過待ちの駅に停車してから、「のぞみ」が通過できるまでの時間、通過してから「こだま」が発車できるまでの時間が短くなった。実際乗ってみて、「こだま」が止まってから、思いのほか早く、「のぞみ」がやってきた気がした。

 270キロの「700系」が昨春限りで引退し、全車両が285キロ運転のダイヤに対応可能になったことが「のぞみ」の毎時12本ダイヤにつながったが、「こだま」の進化にも大きく寄与したといえる。

 今回の「こだま」の旅はストレスはなく、ホームで駅弁も買えた。JR東海によると、「のぞみ」の毎時12本運転が実施されたのは、昨年度は30日179時間帯、今年度は8月6日までで11日55時間帯。この場合、「こだま」は東京-新大阪間で一部の時間帯を除き、最大19本(のぞみ17本、ひかり2本)に抜かれるという。この遅いようで速い「こだま」にも乗ってみたい。(鮫島敬三)

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