【元病院長のこだわり定年ライフ】アウトドアの必需品、ナイフに魅せられて

順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院の院長職を2021年3月で退任。定年を迎えた元病院長は、これまでの人生で極めてきた数多くの趣味に、たっぷりの時間をかけて、さらに磨きをかける!

 

米国では一人前の男の証だった

 念願の北海道バイク遠征を果たしたくも、長きに渡って非常事態宣言が続き、そのうちに冬がやって来てしまった。そこで今回はガラッと趣向を変えてアウトドアライフの必需品、ナイフの話をしようと思う。

 このナイフの趣味の起源も米国留学時代に遡る。私の留学したコロラドやその隣のワイオミングあたりのカウボーイや農場主は、今でこそ拳銃をぶら下げてはいないが、皆腰のベルトに大小さまざまなナイフを携帯している。このようにナイフを多用する習慣は実に国民に広く浸透していて、それは大学の研究室にも及んでいる。彼らは日本人ならハサミを使う仕事をナイフでこなす。

 ある日、年長のPh D(博士)がお尻のポケットから古びたポケットナイフを取り出し、実験器具を開封するのに使っていた。目の前にハサミもあるのにわざわざそんなもんいらないだろうと言ったら、自分にとってはこうしてナイフを使う方が自然な行為だと言う。ところでそのナイフは随分古いじゃないかと尋ねたら、自分が8才の時に父親から貰った物だと言う。聞けばかの国では息子が一人前に刃物を使えると判断したとき、多くの父親は一本ナイフをプレゼントする習慣があるという。彼はその父親から与えられたポケットナイフを以来長きに渡って使っているとのことだ。なんだか聞いたことのあるような話だ。日本で言う『元服』だなと思った。

影響受け、さっそく独製高級ナイフ購入

 こんな話がニューヨークのマンハッタンでも通用することではなかろうが、少なくともロングアイランド出身でコーネル大学を卒業したPh Dがそう言っていた。ま、文化の差だ。我が国ではせいぜい鉛筆削り用ナイフの「肥後守」が知られているが、そんなもんを今さら珍重している人はいないでしょう。しかし、米国ではそうしたナイフを持ち歩き、それを日常生活で多用する習慣が根付いている。日本人ならハサミが無けりゃ歯でかみ切る所だが彼らにはそんな発想はない。

写真1)いずれもドイツのPUMA製。真ん中が最初に購入した「DEER HUNTER」=筆者撮影

 何事にも影響されやすいのが特徴の私。早速スポーツショップに赴き、何も分からないままに買ったのがこの一本(=写真1)。これはドイツのナイフメーカーPUMAの「DEER HUNTER」というモデルだ。その頃からDEER HUNTERに成ることが運命づけられていたかも(=連載4回目参照)。これは米国の老舗スポーツナイフメーカーBUCKのモデルを原型としていると思われるが、ドイツの刃物の街として知られるゾーリンゲンの高級ナイフだ。例によって形から入るのが私の基本。もっとも、わざわざ買いに行ったのは仕事ばかりでは無く、その頃始めたキャンプでの使用も考えてのことだった。

用途、切れ味、美しさ、、どんどん増えていく

写真2)フランス製のラギオール=同

チーズにはやはりフランス製

 さて、キャンプで使い始めるとこれはよく切れるし、料理その他の雑用にも便利な汎用ナイフで重宝した。しかし、あちこち行くようになると各種の仕事に適したものや、より切れ味の良いもの、形の美しいものなど色々欲しくなるのが人の常。さらに、山荘での生活が始まると斧や鉈などと共に、その作業に適したナイフが欲しくなる。例えばチーズを切るにはフランスのラギオール(=写真2)を使うとムードが上がる。

写真3)米国製のマイクロテック(一番上)とベンチメイド=同

旅客機エンジン部品と同じ素材の米国製がお気に入り

 以来種々のナイフを買い集めたが一番のお気に入りは写真3の一連の米国製ナイフ。これらは154CMというボーインク770のエンジンの軸受として開発された鋼材を使用したナイフで非常に硬く、切れ味も抜群で刃持ちが良い。下の二本はベンチメイド社製、上の一本はマイクロテック社製であるが、すでに製造中止となったこのナイフの中古が14万円で売りに出ていてびっくりした。それほど人気がある。

写真4)スウェーデン製のモーラナイフ。上が炭素鋼で下がステンレス=同

米国製は刃持ちの良さ重視

 一方、最近キャンプや山仕事で多用するのがスウェーデン製のモーラナイフだ(=写真4)。これには炭素鋼とステンレスのブレードがあるがとにかく安くてよく切れる。切れ味の点では先に紹介した154CMのナイフより優れ、自分の手を誤って切っても血が出てくるまで気がつかない。しかし、それは使い出しの時の話で切れ味はすぐ落ちる。

 ここにヨーロッパと米国のナイフに対する考え方の差があって、前者はなまくらになれば研げば良いという考えで、後者は研ぎにくくても刃持ちの良さを重視する。正直に言って素人には研ぎやすい素材の方が使いやすい。

写真5)米国製のコールドスティール=同

サバイバルナイフで熊と戦う!?

 最後にとっておきの一本(=写真5)。これは米国のコールドスティール社の所謂サバイバルナイフ。これは日本の関製で、日本刀と同じく真ん中に硬い鋼材を挟んだ三層構造を有し、見た目と裏腹に超良く切れる。これを何に使うかって? かつて北海道で2回ほど経験したように、いざとなったら熊と戦おうかと思って。

 最後に皆様のためにアイヌに伝わるヒグマとの戦い方をご教示する。倒す方法は一つだけ。熊を怒らせて立ち上がらせ、懐に飛び込んで心臓を一刺し。熊の関節は胸の内側に回り込むようには出来ていないので飛び込んでしまえば安全。ただしその際、馬の首をへし折るほどの強力な熊パンチにご用心。

 以上、機会があったらお試し下さい。

髙崎芳成(たかさき・よしなり) 1950年8月生まれ。順天堂大学医学部卒業。同大博士課程修了。米コロラド州立大学研究員を経て、2005年順天堂大学医学部教授。専門はリウマチ科・膠原病内科。2011年、順天堂大学医学部附属順天堂医院院長、2016年、順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院院長。2021年3月に同院長退職。日本内科学会評議員、日本リウマチ学会理事長などを歴任。70歳になり八ヶ岳山麓に拠点を移した。バイク、スポーツカー、ワイン、カメラ、スキーなど多彩な趣味を謳歌し、週2日だけ都内で医師として働く。

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