【47都道府県 流浪の食い道楽】➀北海道

 出張、転勤、旅行…。全国を渡り歩いてきた筆者が、各地のグルメを独断と偏見に基づいて紹介する。記念すべき第1回は最北の地、北海道から始めたい。

 北海道の名物と聞くと、味噌ラーメン、ジンギスカン、スープカレー、いかめし、毛ガニ、バフンウニなど次々と旨いものが思い浮かぶ。各地のデパートで開かれる物産展で、北海道展が断トツの一番人気であるのはよく知られた話だ。

 すべて食べた。食べまくった。どれもこれも間違いなく旨かった。だが、小欄ははっきり言ってひねくれている。大好物ではあるが、ラーメンやジンギスカンなどと言うつもりは毛頭ない。

 小欄の推しはこれだ。夏のサンマ。とりわけサンマの握りを推したい。

 小欄が初めてサンマの握りを食したのは25年前の8月。クルマで道内各地を巡り、たどり着いたのが釧路。夏なのに霧が立ち込める寒い夜だった。

 後から知ったのだが、釧路は「日本のロンドン」という異名を取るほどの霧の街。年間100日も霧が発生するメカニズムには「親潮」と「黒潮」がぶつかる場所に比較的近いことがある(それが良い漁場も形成している)、という。

 その釧路でふらりと入った寿司屋。大将におすすめを聞くと、迷わず「この時期はサンマ」と言う。「サンマは秋なのに」と思いつつ、言われるがまま、サンマを2貫もらった。

高級魚のよう…6貫も喰った

 旨い!サンマとは思えない。舌の上で溶けるようだ。品の良い脂が乗り切っていて、酢飯との相性も抜群。サンマの旨味はそのままに、高級魚を食べている感覚だ。結局、この店では6貫もサンマを喰ってしまった。

 北海道のサンマは7月から漁が始まるが、夏のうちは餌も豊富で脂がガッツリ乗ったサンマが食べられるのだ。サンマに秋のイメージがあるのは、その後、三陸沖に南下して8月終わりから11月頃まで各地の漁港で最盛期を迎えるため。北海道のサンマが旨いのは、長い距離を回遊しておらず体力を消耗していないからだ。

 時は流れ、近年では毎年のようにサンマの不漁が伝えられる。不漁のはっきりとした原因は分かっていないが、先ほど取り上げた「親潮」の勢いが弱まって、北海道の沖に暖かい海水の塊が生まれ、冷たい水を好むサンマの漁場が出来にくくなっていることも一因と言われている。

 価格が高騰し、高級魚のような価格となることもあるサンマ。握りも塩焼きも安心して腹一杯食べられるようになってほしいと切に願っている。

(田端素央=ライフラプラスONLINE編集長)

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